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【認知症】これって認知症かも?悩む前に知ってほしい4つのこと


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これって認知症かも…認知症に悩む前に知ってほしい4つのこと

認知症はご本人にもご家族にとっても切実な問題です。正しく理解し、誤解や偏見なく対応することが求められます。認知症の症状や早期発見のためのポイントなど、副院長・高橋医師が解説します。

認知症とはどんな病気ですか?

認知症、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、もの忘れ、イライラ

記憶力・思考力の低下、計算・言語障害など多数の高次脳機能障害が、慢性的あるいは進行性に生じる脳の病気です。高齢になるほど発症のリスクは高く、2025年には5人に1人が認知症に罹患するといわれています。人にもよりますが、60歳代後半から認知症の症状がみられる方は増加します。なかには『若年性アルツハイマー型認知症』など40~50歳代で症状が現れるケースもあるので注意が必要です。他にはお酒を飲みすぎるなどの原因で脳が委縮し、認知機能が低下して認知症の診断をうけることもあります。また、てんかんやうつ病、その他生活習慣病などの持病をしっかり治療しないと認知症になりやすいというデータもあります。このように認知症は様々な原因が考えられる疾患と言えます。

1. 認知症の主な症状とは?

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主な症状としては、以前より物忘れがひどくなるなどの【記憶力の低下料理・片付け・運転・計算などのミスが多くなるなどの【理解力・判断力の低下今がいつか(時間)、ここがどこか(場所)わからなくなるなどの【見当識障害などが挙げられます。
また些細なことで怒りっぽくなったり、気分の落ち込みや不安、意欲低下などうつ病のような症状や、幻聴や被害妄想などがみられることもあります。
最近では、記憶力の低下などの自覚症状が無くても、他の症状が気になって病院に受診したら実は認知症だったと発覚するケースも多くみられます。

2. 受診を考えるべきタイミングは?

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「最近物忘れがひどくなった」
「道が分からなくなることがある」
「以前より元気がなくなった」
「イライラすることが増えた」


これらのような変化にご自身周りの方がお気づきになられたときに病院を受診されるとよいでしょう。認知症の薬は認知症が進行してしまった方より認知症初期の方のほうが認知症の進行を抑える効果があると言われています。そういった観点からも早めの受診の方がよいといえます。

ご本人やご家族が悩み続けるより、まずは気軽に病院を受診し認知症の可能性があるかないかご相談されるとよいと思います。認知症と診断されたなら専門の治療を受けることも出来ますし、もしくはそれ以外の病気が見つかり、治療を進めることができる可能性もあります。
物忘れ以外の面、例えば情動面での変化記憶の変化、そして身体の変化などの様々な変化も、認知症の症状の一つであることがあります。例えば、『レビー小体型認知症』の患者さんであれば、歩行が少し小刻みになって以前より歩きづらくなる症状が見られることがあります。身体の変化などがあった場合も病院を受診して、様々な検査を受けるとよいでしょう。

3. 認知症の検査や治療は?

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頭部MRI画像

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MRI

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認知症には『アルツハイマー型認知症』、『脳血管性認知症』、『レビー小体型認知症』など様々なタイプの診断があります。
まずは詳しい問診・認知症機能検査を行い、必要に応じて血液検査、頭部MRI検査、脳波、脳血流検査などを行います。
初期段階では、MRIだけで判別できない場合がありますので、解析ソフトを使って脳の海馬の萎縮度合いを見ます。それらの検査結果と認知機能検査や問診の結果を合わせて診断します。
認知症と診断された場合には、認知症のタイプに応じて治療を行います。

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例えば、『アルツハイマー型認知症』の場合には、コリンエステーゼ阻害薬などの認知症の進行を遅らせるお薬を処方する場合があります。
薬での治療は進行が緩やかになる効果があり、データ上では認知機能が以前よりも上がった、記憶力が少し戻ったという例もあります。今後の医療の進歩により、認知症に効く薬が生まれることも期待されています。
特発性正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫などが原因で生じるものは外科的に治療できる場合があり、脳神経外科と連携して治療にあたることもあります。

不安定な精神状態により暴力的になる方には、対処療法を行います。
「夜間せん妄」といわれる症状や「不眠」が強い人には向精神薬を一時的に処方することはありますが、副作用も出やすく、精神科の専門医でないと扱いづらいことも多いです。例えば、深夜徘徊などをする人を薬で抑えすぎてしまうと、徘徊したときに副作用でふらついて転倒してしまう…などということもありえます。
薬を飲みすぎることで症状が悪化したり、思わぬ事故につながってしまうこともあります。薬でどこまで症状を抑えるかは、ご本人やご家族と話し合って決めていきます。

4. 認知症と診断されたら…生活について

認知症と診断された場合に必要なことを3つ紹介します。

1つ目/併存疾患の治療を行う

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1つ目は、糖尿病、高血圧、不眠症などの併存疾患があれば、しっかりと治療することです。生活習慣病などの持病は、間接的に認知症を悪化させることがあります。まずはもともと持っている病気を、かかりつけの病院でしっかり治療してもらうことが重要です。

2つ目/人との交流や活動を適度に保つ

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2つ目は、人との交流や活動を適度に保つことです。人との会話は認知症の予防になり、予後にも影響するといわれています。外出する機会を作ったり人と接する機会を作るという意味でも、デイサービスや訪問看護を利用するというのはひとつの選択肢ではないかと思います。認知症は、人との関わりや交流を保てるよう、周りの人の支えが大切になるため、まずは認知症についてご家族が理解することが重要です。同じことを何回も言われて「うっとうしい!」ではなくて「うんうん」と聞いた方がいいケースもあります。認知症を知るということが、ご本人への対応を改善していく一つの手がかりにもなると思います。

3つ目/その人にあった生活環境を検討する

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3つ目は、その人にあった生活環境を検討することです。認知症が中等度に進行していても人格がしっかり保てている方もいらっしゃるなど、症状は人それぞれです。「認知症はこうだ」とひとくくりにすると、その方の尊厳を失わせてしまうことになります。個々のケースとして「本当はこう思っているのでは?」と、性格や認知症の度合いなどに合わせて対応を考えていくことが大切です。

もともと対人交流が苦手な方もおられますし、デイサービスなどで人との関わることを避けたいという人もいます。一般的にはデイサービスや訪問看護などの利用をすすめることが多いですが、本人が利用を拒否することもあります。本心から本人が「嫌」と言っているのか、認知症の症状としての拒絶なのかなどケースバイケースで考えていくことが重要です。
ご本人やご家族だけで問題をかかえると負担が大きいですから、担当医や病院のケースワーカーに相談して頂くと、介護保険の申請、デイサービス、訪問看護、施設入所などの様々な社会資源の選択肢が見えてきます。
認知症を疑い、困ったら、お気軽にご相談下さい。