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仙骨神経刺激療法


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便失禁に悩む患者さんは国内に500万人以上いると言われていますが、実際にはその8割以上の方が病院を受診することなく悩み続けられているのが現状です。この理由として考えられるのは羞恥心や後遺症、年齢によるものと諦められる方がほとんどであると思われます。ですが、これらは生活の質を著しく低下させる要因になります。

当院は専門治療をおこなえる医師が在籍しており、薬物治療・外科的治療はもちろん、便失禁に対する新たな治療法である仙骨神経刺激療法に関しても、認定施設として手術をおこなっております。

※当院含めて愛知県で2施設 (2018年1月現在)

便失禁について誰かに相談しましたか?出典: 日本メドトロニック調べ「便失禁治療に関する市場の実態調査および製品Xに関する評価」(2009年)


便失禁の原因

内肛門括約筋の機能低下

便失禁の中で一番多いとされている原因です。肛門を締めようと努力しなくても、無意識のうちに肛門を締めてくれている筋肉が内肛門括約筋ですが、この筋肉による肛門を締める力が加齢などによって弱くなると、少量の漏出性便失禁を生じます。

自然分娩による肛門の損傷

自然分娩で出産した際に肛門の筋肉(肛門括約筋)や関連する神経がダメージを受けると、便失禁、特に切迫性便失禁の症状が現れます。ほとんどの場合は分娩直後に症状が現れますが、何年も経ってからという場合もあります。自然分娩で出産した人のうち約3%が便失禁を経験するという報告もあります。

直腸の手術

直腸がんの手術では、直腸やS状結腸を切除しなければならず、場合によっては肛門括約筋の一部も切除します。そのため便を正常にためておくことができず、また肛門を締める力も低下するので、便失禁の症状が現れることも少なくありません。

肛門の病気や手術

痔瘻や裂肛といった肛門近辺の病気の治療のために、肛門括約筋をあえて切らなければならないケースがあります。そうした場合、肛門を締める力が低下して便失禁などの症状が現れることがあります。

神経系の障害

怪我などによって脊髄を損傷してしまった場合や、髄膜などの病気によって便意を伝達する神経がダメージを受けた場合などに、便失禁の症状が現れることがあります。

過敏性腸症候群(IBS)

一般的には排便に関連して腹痛や腹部の不快感を生じる病気ですが、切迫性便失禁の原因になる場合があります。肛門括約筋にも神経にも問題はありませんが、直腸の知覚過敏によって過剰な便意を催すために切迫性便失禁の症状が現れます。

その他の原因

上記のような明らかな原因がなくても便失禁になることがあり、その場合は特発性(とくはつせい)と分類されます。

便失禁が生活に与える影響出典: 日本メドトロニック「便失禁治療に関する市場の実態調査および製品Xに関する評価」(2009年)


検査について

まず問診をした上で、専門的な検査をおこなう場合があります

はじめに患者さんの状況を詳しく問診します。便失禁の診断を進めていく上で、この問診がとても重要です。最初は恥ずかしさなどから、相手が医師でも面と向かって話しづらいかもしれません。しかし、今どのような症状で困っているかなどを含めた詳しい情報は、医師が便失禁の原因を特定するための検査や治療方法を決定する上で、とても大切です。実際の問診では、便失禁の状態や漏れの頻度などについて詳しく確認します。また、出産歴やこれまでにかかった病気、手術歴、また現在治療中の病気や服用中の薬、特に消化器系に関する病気について確認します。

詳しい問診の結果、さらに専門的な検査をおこなう場合があります

直腸肛門機能検査
  • 肛門に関する検査
    便を我慢するように力をいれて肛門を締めた時と、力をいれず安静にしている時の肛門の締まり具合などを調べます。
  • 直腸に関する検査
    直腸の中に風船のような測定器を入れて、直腸の知覚を調べます。また、直腸に便をどれだけためることができるかを測定します。
肛門超音波検査
超音波検査によって肛門の筋肉(肛門括約筋)に十分な厚みがあるか、また損傷がないかを確認します。

症状をチェックしてみましょう

  • おならを我慢できない
  • 下痢を我慢できないことが多い
  • 気づかないうちに下着を汚したことがある
  • 便意に気づかずに漏らすことがある
  • 便意はあってもトイレまで我慢できないことがある
  • 便失禁によって日常生活に支障をきたしている

チェックが当てはまった方へ

便失禁はおしりの筋肉や神経がうまく働かないなど、排便を正常にコントロールできなくなる病気です。おひとりで悩むのではなく、医師に相談し、便失禁を改善することで心から楽しめる毎日を取り戻しましょう!


仙骨神経刺激療法(SNM)による便失禁の症状改善

1. 仙骨神経刺激療法の歴史

仙骨神経刺激療法は、欧米では2000年ごろから導入され、これまで約15万人に対して治療がおこなわれており、約8割前後の患者さまに症状の改善がありました(治療効果は患者さまによって異なります)。日本では2014年4月より保険適応となり、認定基準を満たした医療施設にておこなわれます。

2. 治療の内容について

仙骨神経刺激療法(SNM)による便失禁の症状改善

写真提供: 日本メドトロニック株式会社

おしりの少し上に小型の刺激装置を植込み、直腸や肛門といった排便に関係する神経である仙骨神経に対し電気刺激を与えることで便失禁の症状の改善を図る治療方法です。

3. 治療効果のイメージ

これまで便失禁の治療をおこなっても十分な効果が得にくい肛門括約筋の機能低下や一部損傷が存在していても治療効果が期待できます。

失禁回数が減少

便失禁によって、失われていた日常生活を取り戻すことができます。

たとえば、
  • 不安だった外出ができるようになる
  • 旅行に行くことができるようになる など

4. 手術について

試験的に刺激をおこなうリード線は、侵襲が少なく、万が一不都合があれば抜去することができる手術です。詳しくは外科外来にてご相談ください。

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