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腹膜播種外科外来


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腹膜偽粘液腫に対する腹膜切除について

お腹の中は腹膜という薄い膜におおわれており、腹膜に囲まれたスペースを腹腔と呼びます。腫瘍が腹腔にこぼれて腹膜に広がった状態を腹膜播種といいます。

以前は、もう治らない病気として抗がん剤治療や緩和治療などでなるべく長く腫瘍とつきあうことが目標でした。しかし、最近、腹膜に播種した腫瘍を切除することでこれまでの治療よりも長い期間元気で過ごすことができたり、病気が治ったりすることがわかってきました。1995年にSugarbakerによって報告された腹膜切除を伴う減量手術 (CRS; cytoreductive surgery)は、大腸・虫垂由来の腫瘍や婦人科腫瘍に適用され、現在、欧米を中心とした多くの専門施設において腹腔内臓器由来のがんの腹膜播種症例に対する治療選択枝のひとつとしておこなわれるようになってきました。なかでも、腹膜偽粘液腫はこの治療法が最も有効な疾患と考えられています。腹膜偽粘液腫は、虫垂の粘液産生腫瘍が腹腔内に播種して大量の粘液性腹水が貯留するまれな病態です。これまで難治性とされていましたが、現在ではCRSが有効な治療と考えられています。2012年、Chuaらによる16の専門施設2298症例の集積では、5年生存率80%、10年生存率74%と良好な成績が報告されています。腹膜偽粘液腫に対してはほとんどの症例がCRSの適応です。

一方で、この治療を我が国でおこなっている施設はごく一部に限られています。一宮西病院では、腹膜切除を数多く経験した鍛利幸先生のもとで執刀医としても経験を積んだ外科医が在籍しており、腹膜切除術を安全かつ有効におこなえる環境が整っています。消化器内科腫瘍内科麻酔科など他科の医師とも協力し、集学的な腹膜播種治療をおこなうことができます。

WOC外来 (ストーマ外来)A棟1階

A棟1階

診療日時 毎週木曜日
9:00-12:00
※祝日を除く
担当医 岡田 和幸

腹膜偽粘液腫に対する腹膜切除の流れ

【腹膜偽粘液腫のCT】肝表面や胃の周囲を中心に粘液性腫瘍(*)の播種を認めます。

【開腹所見】腹腔内全体に粘液性腫瘍の播種を認め、上腹部臓器は一塊となっています。

【腹膜切除】Sugarbaker (1995)によって提唱された腹膜切除では、1)大網切除・脾摘、2)左上腹部腹膜切除、3)右上腹部腹膜切除・肝被膜切除、4)小網切除・胆摘・網嚢腹膜切除、5)直腸切除(子宮全摘)・骨盤腹膜切除、6)胃切除をおこないます。

【切除後の上腹部手術所見】横隔膜下腹膜、肝被膜、網嚢が切除され、胃切除、右半結腸切除がおこなわれています。


症例実績

症例数 68
原発
  • 虫垂(47)
  • 大腸(6)
  • 卵巣・子宮(6)
  • 胃(1)
  • 中皮腫(1)
  • 小腸(1)
術式
  • 胃切除(4%)
  • 脾摘(34%)
  • 小腸切除(22%)
  • 結腸切除(54%)
  • 直腸切除(44%)
  • 子宮付属器切除(41%)
  • 膀胱尿管切除(4%)
  • 横隔膜下腹膜切除(47%)
  • 骨盤腹膜切除(60%)
  • 網嚢肝門部腹膜切除(21%)
  • 胸膜切除(1%)
PCI 16(0-39)
完全切除率 85%
手術時間 6.2(0.24-11.0)時間
出血量 736(15-6885)ml
術後合併症 26%(グレード3以上)
手術死亡 0%
術後入院 20(9-145)日
※( )内の数値は(最小値-最大値)となります
  • 出典: 一宮西病院外科 岡田和幸医師の市立岸和田市民病院勤務時代における実績
  • 調査の実施主体: 岡田医師の市立岸和田市民病院勤務時代における数字
  • 調査範囲: 偽粘液種又は腹膜播種を伴う腫瘍に対して腹膜切除をおこなった患者
  • 実施時期: 2020年5月~2023年12月
  • サンプル数(N数): 68件

腹膜播種外科外来

診察担当医

一宮西病院
外科医長
岡田 和幸

<主な資格>日本外科学会 外科専門医、日本消化器外科学会 消化器外科専門医・消化器がん外科治療認定医、日本内視鏡外科学会 技術認定取得者(消化器・一般外科)、Intuitive Certificate of da Vinci System Training As a Console Surgeonなど取得

⇒プロフィールの詳細はこちら

お問い合わせ

Tel. 0586-48-0077(代表)
[受付時間] 月~金 9:00-17:00 / 土曜日 9:00-12:00


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