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放射線治療科


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放射線治療科では、主に悪性腫瘍(がん)に対する外部照射をおこなっています。放射線治療は頭の先から足の先まで、全身の多くのがんを対象とし、根治的治療から緩和的治療までがん治療の様々な目的・状況で利用できます。また、年齢や全身状態による制限が手術や抗がん剤治療に比べてゆるい傾向にありますので、小児から高齢者まで多様な全身状態の患者様に受けていただける治療です。疾患や全身状態によっては通院で治療することも可能ですので、仕事を続けながら治療を受けられることも利点の一つです。放射線治療だけで根治できる疾患は限られますが、現在のがん治療では、手術や抗がん剤などと様々なかたちで組み合わせておこなう集学的治療が重視されており、その一手段としても放射線治療は重要な役割を担っています。そのため、当科では病床を有していませんが、各臓器別診療科の主治医と緊密に連携して患者さまに最適な治療をご提供できるように努力しています。放射線治療では初診時が特に重要です。できる限りわかりやすく説明し、患者さまが十分に理解・納得して治療を受けていただけるように心がけています。

主な対象疾患と診療内容

対象疾患

  • 悪性腫瘍(がん)全般

診察内容① 治療の流れ

  • 放射線治療は、院内・院外の各臓器別の主治医から、適応となる可能性のある患者さまをご紹介いただくところから始まります。
  • 放射線治療科であらためて診察をおこない、主治医と検討し、放射線治療の適応、最適な治療方針を検討します。
  • 適応が決定したら、放射線治療の計画をたてるためのCT撮影をします。実際の治療時と同一の姿勢をとっていただき、必要に応じて固定具なども作成します。また体表には、放射線を照射する位置の再現性を保つためにマークをつけます。
  • 撮影したCTデータは【放射線治療計画装置】に送られ、照射範囲、線量分割などを決定し、最適な線量分布を3次元的に実現するように照射プランを作成します。
  • 放射線治療の期間中は、定期的な診察で副作用が生じていないかをチェックします。必要に応じて投薬や処置をおこないます。
  • 治療部位によっては、排便を促したり尿をためてもらうなど、患者さまご自身にも治療にご協力をいただいております。
  • 毎日当科の看護師も体調を確認し、補足説明をしていますので、お気軽にご相談ください。

診察内容② 当院放射線治療科の特長

治療用照射装置出力線量の第三者機関による測定実施証明書

  • 当院の放射線治療科には常勤医師(放射線治療専門医)が2名在籍しており、従来の放射線治療に加えて必要に応じて高精度な放射線治療(IMRTや定位放射線治療)を実施しています。
  • スタッフには、治療専門医学物理士、放射線治療品質管理士、放射線治療専門技師が在籍しています。
  • 看護師、及びMA(メディカルアシスタント/医師事務作業補助者)も常駐していますので、患者さまの体調変化にも迅速に対応できる体制となっております。
  • 高精度放射線治療の対象は拡大を続けており、当院でもこれに対応して、脳、体幹部、脊椎など多様な臓器に対してのIMRTや定位放射線治療をおこなっています。
  • 高精度な放射線治療にも対応した品質管理、第三者機関による測定もおこなっております。
当科では医師、放射線技師、看護師、事務がチームで診療に取り組んでおり、全員で患者様の病態を把握し、正確で安全な放射線治療をご提供できるように日々努力しています。

放射線治療機器

放射線治療器

  • 放射線治療装置 Elekta製 Synergy
  • 放射線治療計画装置 Elekta製 Monaco
  • 放射線治療情報管理システム Elekta製 MOSAIQ

緩和的放射線治療

当院では緩和的放射線治療についても積極的におこなっています。緩和的放射線治療とは、がんの根治を目指すものではなく、がんによる痛みなどの症状を和らげ生活の質(QOL)を改善することを目的とするものです。

治療の適応となる疾患や症状の例

  • 骨転移による疼痛
    従来10回程度で治療されることが多かったのですが、最近は積極的に1回照射をおこなっています。効果は複数回照射と同等とされています。
  • 脳転移による神経障害
    最近は複数個の脳転移の場合でも、短時間での定位放射線治療をおこなうことができます。
  • 神経障害による麻痺・しびれ
    脊椎転移により脊髄圧迫症状(麻痺など)が生じた場合などは、緊急で放射線治療をおこなうことがあります。
  • 気道狭窄による呼吸苦や消化管狭窄による食べ物の通過障害
    肺がんや食道がんで生じることが多いです。
  • 腫瘍出血による貧血の進行
    胃がん原発巣からの出血で貧血が進行し輸血を繰り返すような場合には、放射線治療により輸血をしなくても済むようになることが多いです。

症例数

放射線治療患者数

2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
新規実患者数 140 160 246 240 268 263 317
新規+再患 165 181 295 295 322 311 370
※原発巣への照射後に転移部位へ照射した場合なども含むのべ人数(複数部位含む)

原発巣別患者数(JASTRO構造調査に準ずる分類)

原発巣 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
脳・脊髄腫瘍 5 3 4 6 3 7 7
頭頸部腫瘍 5 11 14 15 17 10 23
食道癌 2 5 11 5 9 3 9
肺癌・気管・縦隔腫瘍(うち肺癌) 23 (23) 44 (42) 71 (69) 70 (68) 76 (75) 73 (71) 86 (86)
乳癌 47 54 78 70 61 80 90
肝・胆・膵癌 0 2 3 5 3 4 5
胃・小腸・結腸・直腸癌 5 6 11 10 12 13 13
婦人科腫瘍 7 3 11 12 12 7 19
泌尿器系腫瘍(うち前立腺癌) 41 (25) 31 (15) 42 (27) 37 (30) 57 (51) 44 (37) 46 (40)
造血器リンパ系腫瘍 0 0 0 9 14 18 17
皮膚・骨・軟部腫瘍 2 0 0 0 0 0 0
その他(悪性腫瘍) 2 1 0 0 0 1 0
良性疾患 1 0 1 1 4 3 2
合計 140 160 246 240 268 263 317

特殊照射法別患者数

2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
定位照射(脳) 0 0 0 6 5 14 10
定位照射(体幹部) 0 0 0 11 8 10 10
強度変調放射線治療 0 0 44 82 103 88 120

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