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内分泌疾患


内分泌疾患には特徴的な症状を呈さない疾患もあり、各種ホルモンの検索をおこなうことで診断に至ることがあるため、積極的に検査を実施しております。

カルシウム代謝異常

副甲状腺腺腫

副甲状腺腺腫

  • 原発性副甲状腺機能亢進症
  • 医原性高カルシウム血症
  • 原発性副甲状腺機能低下症 など

体内のカルシウムはほとんどが骨に存在しますが、ごく微量に血液中にも存在します。この血中のカルシウム値は副甲状腺ホルモン、ビタミンD、カルシトニンといったホルモンにより細かく濃度調整がされています。
この中で副甲状腺ホルモンが上昇した場合を原発性副甲状腺機能亢進症といい、多くの場合甲状腺の裏側にある副甲状腺の良性腫瘍が原因となります。この疾患では血中カルシウムの濃度が上昇し、尿管結石が発症しやすくなったり、骨密度が低下したり、脱水から腎不全になりやすくなります。また気分の落ち込みなどのうつ病のような症状や、食欲不振など消化器症状も起こるなど、様々な症状が起こりえます。
また、近年骨粗鬆症の治療の重要性が叫ばれる中で、ビタミンD製剤の治療を多くの方が受けていらっしゃいますが、一部の方で高カルシウム血症になってしまう方もいらっしゃいます。

当科では、血中カルシウムの値の高い患者さまを積極的に検査にて見つけるようにし、適切な診断に努めております。副甲状腺機能亢進症を診断した場合には脳下垂体、副腎、膵臓などに腫瘍が合併することがあります。消化器内科脳神経外科とも連携して、CTMRI、超音波内視鏡などで検査をおこなっております。また、手術が必要な場合は、外科と協力して治療をおこないます。

副腎疾患

  • クッシング症候群
  • 原発性アルドステロン症
  • 褐色細胞腫
  • 非機能性副腎腫瘍 など

副腎は腎臓の上にある、片側5〜15g程度の臓器です。小さい臓器ですがコルチゾール、アルドステロン、カテコラミン(アドレナリン、ノルアドレナリンなど)を分泌しており、血圧、体温、血液中の電解質や血糖値の調整など生命維持に大切な役割を担っています。副腎に腫瘍ができると、その一部の方ではこれらのホルモンを過剰分泌してしまい、以下のような症状が起こりえます。

ホルモン過剰分泌により起こりうる症状

  • コルチゾールが過剰になると顔面の紅潮、体幹を中心とした肥満、イライラ感などの症状にくわえて、高血圧、糖尿病などを発症することがあります。
  • アルドステロンが過剰産生されると高血圧となり、しばしば一般的な降圧剤ではコントロールしづらいことが経験されます。また血液中のカリウムが低下することがあります。
  • カテコラミンが過剰に産生されると、発作性に著明な高血圧を起こすほか、イライラ、頭痛などがおこります。また糖尿病を発症することもあります。

当科では、積極的に刺激試験をおこない、ホルモン不足やホルモン過剰を適切に診断するようにしております。この際、通院回数は増えますが入院せずに検査を進めることも可能です(蓄尿、副腎静脈採血など、一部の検査では入院が必須になります)。

当院では、ホルモン分泌異常がない副腎腫瘍に対して良性悪性の鑑別をおこなうために消化器内科と連携し、膵臓や腹腔内リンパ節の組織検査に用いられる検査方法による、超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診に取り組んでおります。

超音波内視鏡下に穿刺をしている様子

超音波内視鏡下に穿刺をしている様子

副腎腫瘍のMRI

副腎腫瘍のMRI(赤枠内が腫瘍)

下垂体疾患

  • 先端巨大症
  • プロラクチン産生腫瘍
  • 下垂体機能低下症 など

下垂体は甲状腺、副腎、性腺からのホルモンの量を調節する臓器で、内分泌臓器をコントロールしている臓器ともいえます。ほかにも成長ホルモン、乳汁分泌ホルモン、尿量を調整する抗利尿ホルモンを分泌しています。 下垂体の機能異常により甲状腺機能異常、副腎機能異常が起こるほか、四肢末端の肥大、無月経などが起こりえます。
脳神経外科とも連携して下垂体機能の亢進、低下する疾患について刺激試験などを用いて機能評価をおこない、ホルモン補充療法などを実施しております。甲状腺ホルモン、ステロイドホルモンの内服に加え、成長ホルモンの注射製剤の投与もおこないます。

その他のホルモン異常に対しては各診療科と連携して治療をおこなっております。