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レーザー静脈瘤センター


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「治したい」と思っていても、「手術はなんだか怖い」とか「忙しくて時間がない」といった理由から先延ばしにしているのが下肢静脈瘤です。でも、そのまま放っておくと難治性の皮膚炎や潰瘍をつくって跡に残ってしまうことがあります。

そんな中、近年静脈瘤に対する治療法が劇的に変わりました。それはレーザーや高周波をつかった血管内治療の登場です。これにより静脈瘤を「切らずに」そして「痛みも最小限度で」治すことができるようになったのです。その上、時間もかかりませんし、保険適応です。

一宮西病院では、いかに下肢の不快の症状をとり、美的な足を取り戻せるかを常に考えて治療にあたっています。

下肢静脈瘤とは

足にある静脈に血液がたまって血管が拡張し、外見上、こぶ(瘤)のようになった状態をいいます。
(外部サイト「知ってください下肢静脈瘤のこと」)

下肢静脈瘤の種類

(左)伏在静脈瘤、(中)側枝静脈瘤、(右)網目静脈瘤

下肢静脈瘤の原因

下肢の静脈には血液が重力によって足先へ逆流しないように弁がついていますが、それらの弁が壊れると血液の逆流が起こり、うっ血が生じて血管が拡張したり、血流が蛇行することにより、こぶができます。これが下肢静脈瘤の原因です。

下肢静脈瘤の症状

  • 足がだるい
  • 足が痛む
  • 足が疲れ易い
  • 足が重い
  • 足がつる
  • 足がむくむ
  • こむら返りが起こる
  • 足がかゆい
  • 皮膚から出血する
  • 皮膚に色素沈着が起こる
  • 皮膚に潰瘍ができた
  • 皮膚が硬くなった
  • 足の血管が浮き出てきた
  • 生理時に不快感がある
…などが挙げられます。

下肢静脈瘤になりやすい人の特徴

  • 女性に多い。女性ホルモンの減少が影響しやすい。
  • 加齢とともに症状が進む。
  • 立ち仕事に従事する人(美容師、調理師など)に多い。
  • 妊娠・出産をきっかけにして、静脈瘤ができやすくなる。特に2度目の妊娠でできる人が多い。
  • 遺伝的な要因もある。

下肢静脈瘤を放置した場合

そのまま放置しても、生命の危険や足を切断することはありません。症状の進行も非常にゆっくりです。ただし自然に治ることはなく、長期間放置すると、静脈の中に血栓ができ、炎症を起こすことがあります。重症化すると、皮膚の色が黒ずんだり(色素沈着)、皮膚に穴が空いたり(皮膚潰瘍)することがあります。

下肢静脈瘤の治療法

2014年に2種類の下肢静脈瘤の治療が保険適用となりました。1つは波長1470nmレーザーによるレーザー治療、もう1つは高周波治療でラジオ波治療とも呼ばれています。どちらも厚生労働省が正式に認可した治療であり「下肢静脈瘤に対する血管内レーザー焼灼術実施施設」であれば日本全国どこでも保険診療で治療を受けることができます。

保存的治療(医療用弾性ストッキング)

医療用弾性ストッキングを履いて、足を圧迫することで表在静脈の血液の逆流をおさえ、深部静脈への血液の流れを助けます。この圧迫療法は、あくまでも進行防止・現状維持が目的で、静脈瘤そのものが治るわけではありません。
メリット
  1. 低価格
  2. 履くだけでよいので、簡単
デメリット
  1. 根本的な治療法でない
  2. 履いている間しか効果がない
  3. 夏は蒸し暑く感じる

硬化療法

静脈瘤に固める薬(硬化剤)を注射した後、弾性包帯で圧迫して血管を固め、静脈瘤をつぶしてしまうという治療法です。固まった血管は時間経過で次第に萎縮して消えていきます。
メリット
  1. 外来で治療ができる
  2. 細い針でおこなうため、傷跡がほとんど残らない
デメリット
  1. 注入部に色素沈着することがある
  2. しこりや痛みが残ることがある(時間経過とともに消失)
  3. 硬化療法単独では、表在静脈の弁不全による血液の逆流を改善することができないため、再発してしまう

ストリッピング手術(静脈抜去術)

弁不全を起こしている静脈を引き抜いてしまう方法で、下肢静脈瘤の根治的な治療法として古くからおこなわれている手術です。足の付け根や膝の皮膚を2〜3cm切開し、弁不全を起こした表在静脈の中に手術用ワイヤーを通して、血管自体を引き抜いてしまいます。局所麻酔(TLA麻酔)でおこないます。
メリット
  1. 再発率が低い
  2. 安定した治療成績
デメリット
  1. 入院が必要な場合がある
  2. 皮下出血、痛み、神経障害などの後遺症を伴うことがある

静脈瘤レーザー血管内治療

静脈の中に細いファイバーカテーテルを挿入し、その先端から静脈内にレーザーを照射して、レーザーの熱で静脈を閉塞する方法です。
メリット
  1. 傷がほとんど残らない
  2. 局所麻酔でおこなえる
  3. 日帰り手術が可能
  4. 術直後から日常生活に制限がない
  5. 成功率は約99%とされている
デメリット
  1. 静脈の中にできた血栓が伸びて、深部静脈血栓症を起こすことが稀にある
  2. 再疎通といって、一度閉塞した血管が数ヶ月で開存することが非常に稀にある(しかし下肢の症状が再発することはほとんどありません)

静脈瘤高周波血管内治療

高周波治療は、レーザー治療と同様に血管に細いカテーテルを入れて、内側から血管を焼く治療です。高周波治療では光ファイバーの代わりに専用のカテーテルを使います。このカテーテルに高周波電流を流して120℃に熱して、7cmずつ血管を焼いていきます。一度に7cmずつ焼けるので治療時間が短く、温度を自動制御するので常に一定の条件で治療することができます。
日本では初めて保険適用となりますが、米国ではレーザー治療と同じぐらい普及しています。ちなみに高周波とは周波数の高い交流電流のことで、ラジオ波とも呼ばれています。

合併症

手術方法の違いによらず、以下の合併症の可能性があります。
アレルギー反応
麻酔薬や硬化剤に対するアレルギー反応は起こることがありますので、今までに薬で何らかの異常があった方は診察時に必ずお申し出ください。
感染、創離開
皮膚切開部は手術直前に十分に消毒をし、清潔機材を用いておこないますが、菌の混入による感染の可能性があります。傷口が小さいほど、また操作時間が短いほど感染の可能性は減少します。
疼痛
傷口の痛みは手術直後よりありますが、日に日に軽減をいたします。また手術により固まった静脈瘤は腫瘤として触れ、歩く時に“引き連れ痛”を認めることがありますが、痛みは1週間前後で軽減し、固まった静脈瘤は3〜4ヶ月で自然吸収します。
皮下出血
傷口周囲、または静脈を抜去したりレーザーで焼いた部分に発生しますが、1〜2週間で自然と消失します。細かい血管は、硬化剤の注入によって固まらずに散ってしまうことで皮下出血になりますが、これも同様に1〜2週間で消失します。
血栓性静脈炎
静脈瘤内に多く血液を残して固まった時に認められます。血管が炎症を起こして赤く腫れて痛むことがあります。血管内に残った血液量によりますが、多くは1週間ほどで次第に改善します。痛みが強い時にはお申し出ください。
水疱
手術後のテープによる圧迫により生じることがあります。心配はありませんが、むやみに潰すと化膿することもありますので、大きい水疱のときはそのまま診察にお越しください。
色素沈着
静脈瘤の上の皮膚は薄くなっているので、硬化剤を注入した後や血栓性静脈炎を合併したあとに皮膚の色素沈着がみられる事があります。ほとんどの色素沈着は6〜12ヶ月でほぼ消失しますが、中には薄く残ったり多毛を生じることがあります。
神経損傷
長期間残存する可能性のある合併症で、下腿(ふくらはぎ)内側のシビレ感、知覚鈍麻などです。知覚神経の損傷によるもので、脚の運動機能が障害されることはありません。時間は掛かりますが、徐々に知覚異常の範囲は狭くなります。当院の手術方法では1%以下の発生率と考えております。
再発
再発率は、治療方法により違ってまいります。遺伝性のものや、組織学的に正常に近い静脈瘤、若年性の静脈瘤には再発も多くみられます。万一再発がみられても、静脈瘤の治療方法を変え繰り返しておこなうことができるので心配はいりません。
深部静脈血栓症
術後に深部静脈の中に血栓を生じてしまうことがあります。術後に長時間の安静状態でいますと発生してしまう可能性が高いと考えられます。当院の日帰り手術のように術後の早期歩行、弾性ストッキングの着用により発生はなくなります。
肺動脈塞栓症
深部静脈内の血栓が飛び、心臓を介して肺の血管を詰めてしまう病気です。上記のように弾性ストッキングの着用と術後早期に歩行することにより深部静脈内血栓を生じませんので、発生はきわめて少ないと考えます。

血管内治療後の生活

生活 いつからできる?
日常生活 手術当日から
事務仕事 翌日から
車の運転 2日後から
シャワー 2日後から
肉体労働、立ち仕事 3日後から
入浴 4日後から
温泉、プール 7~10日後から
自転車 1週間後から
旅行(国内・海外) 2週間後から
スポーツ、ジム 2週間後から
長時間の正座 1ヶ月後から
サウナ、加圧トレーニング 1ヶ月後から
※手術の翌日が1日後です。
※あくまでも目安です。手術後の経過によって日数は前後します。

日常生活での注意点

長時間の立ち仕事に注意

長時間の立ち仕事はなるべく避けるようにしてください。1時間ごとに5分ほどの休憩を取ることをお勧めしますが、仕事上どうしても出来ない方は、屈伸や足踏みなどでふくらはぎをできるだけ動かすようにしてください。

長時間の座位を避ける

座位や正座は足の血行を悪くしますので、長時間椅子などに座っている場合は座ったままでも良いので足首を動かすようにしてください。

足を上げて休む

休憩時や就寝時に足元を15~20cm高くして休むようにすると、足の血行が良くなり下肢静脈瘤の予防になります。

下着で締め付けない

窮屈なガードルなどで体を締め付けすぎると、下半身の血行が悪くなり、下肢静脈瘤を悪化させます。

適度な運動をする

ジョギングなど適度な運動をおこない、ふくらはぎの筋肉を強化すれば、血液を心臓に戻す力が強くなり、下肢静脈瘤の予防につながります。

下肢静脈瘤の治療方針

当院の治療方法

  • 局所麻酔
  • 日帰り手術(または1泊2日)
  • レーザーによる手術

医療費

レーザー治療も保険適用となっています。
診察内容 3割負担の場合 1割負担の場合
初診時
(初診料+超音波検査)
2,500 900
硬化療法 5,000 2,000
ストリッピング手術 33,000 11,000
レーザー治療
(1470nmレーザー)
45,000 15,000
高周波(ラジオ波)治療 45,000 15,000
標準的な治療をおこなった場合のおおよその自己負担額となります。
当院での診療は基本的にすべて保険診療です。

民間の保険について

  • 民間の医療保険あるいは生命保険にご加入されている方は、日帰りストリッピング手術あるいはレーザー治療を受けたときに手術給付金が支給される場合があります。通常、治療方法とは関係なく入院給付金日額の10倍(入院給付金が5,000円の場合、50,000円)程度が支払われます。ご本人さまの加入されている保険によっては給付されない場合もありますので、詳しくは各保険会社にお尋ねください。
  • 保険給付ご希望の方は、各保険会社の所定の診断書をご持参いただければ当院で記載いたします(有料、詳しくはこちらのページをご確認ください)。
  • 治療費が給付されるのは、通常、手術のみで、硬化療法は給付の対象になりません。


下肢静脈瘤の治療実績

下肢静脈瘤レーザー治療実績

総数 912件
性別 男性 318件(35%)、女性594件(65%)
年齢構成 10代 2
20代 6
30代 23
40代 93
50代 181
60代 306
70代 270
80代 31
期間: 平成24年2月~平成28年12月

レーザー治療900例を超えて

下肢静脈瘤に対する最新治療であるレーザー治療は、当院では平成24年2月に開始し、平成28年12月末で治療件数は900件以上になりました。当初は週1回1~2例で始めましたが、次第に増加し、現在は週2回5~6例のペースで手術をおこなっています。
日帰りで手術をうけることができる、手術直後から歩行や家事ができる、手術翌日から仕事ができるなどのメリットもありますし、高齢者や一人暮らしの方からは「日帰り手術は、家に帰ってから心配だから1泊2日の入院治療ができてよかった」などの声も聞こえてきます。成績も従来の手術に劣ることなく良好です。
今後も、的確な診断と十分な説明をおこなった上で、患者さまのご要望に沿った治療をおこなっていこうと考えています。


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