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脊椎・側彎センター


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私たち一宮西病院 脊椎・側弯センターのスタッフは、小児から成人まで“脊柱に生じる疾患”を専門に診断と治療をおこなっています。その主な病態や疾患を下記に示します。
  1. 生まれた時から認められる背骨の形の異常
    先天性側弯症、先天性後弯症

  2. 成長期に生じる背骨の異常
    早期発症側弯症、特発性側弯症、症候性側弯症など

  3. 成人や高齢者の背骨のゆがみ
    変性側弯症、変性後弯症など

  4. 背骨の骨折、変形したままで癒合した変形治癒による障害

  5. 首〜背中、腰の痛みや下肢痛
    頸椎症、変形性脊椎症、腰部脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニアなど

治療の流れ

私たちがおこなう治療の流れは以下の通りです。
  • 診察

    まず診察を通した情報収集と、その症状の原因を患者さんと一緒に考えます。

    1
  • 検査

    各病態に適した治療法をおこなうため、必要な検査をおこないます。

    2
  • 保存療法

    緊急性のある病態を除いて、まず保存的な治療を第一選択とします。必要であればギプス治療、装具治療、物理療法、理学療法などをおこないます。薬物療法も含まれますが、これは原因治療とは言えないことがほとんどであり、安易に痛み止めを処方することはしていません。

    3
  • 入院精査

    外来での治療で症状が軽快しない場合、適応があれば入院精査をお勧めします。

    4
  • 手術の提案

    その結果、手術のメリットがそのデメリットよりも大きいと判断できた場合、手術をお勧めします。

    5
  • 手術の決定

    手術については、その治療方法に選択肢がある場合、患者さん本人やご家族の皆さまのご意見もお聞きして、最終決定します。

    6
外来は原則予約制です。しかし、脊椎疾患の診察には時間がかかります。遠方から来られる方も来院されますので、一回の診察に予定した時間配分よりも長くなることもあります。そのため、どうしても時間通り進むとは言えず、予約してもお待たせすることがあるかと思います。その点については、何卒ご理解の程、よろしくお願いいたします。

スタッフ紹介

脊椎・側彎センター長
川上 紀明 かわかみ のりあき
脊柱変形治療が私のライフワークです。その中でも、特に小児の脊柱変形は、難治性な病態が少なくなく、症例ごとの差が大きいのが特徴です。少しでも子供達の将来を明るくできるように諦めないで限界にも挑戦し、患者さんの人生を背負っているという気持ちで治療に取り組んでいます。
⇒プロフィールの詳細はこちら

脊椎・側彎センター副センター長
齊藤 敏樹 さいとう としき
せぼねから来る症状(ゆがみ、痛み、下肢に放散する痛みやしびれ)でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
⇒プロフィールの詳細はこちら
脊椎・側彎センター医員
大里 倫之 おおさと ともゆき
誠心誠意頑張ります。
⇒プロフィールの詳細はこちら

脊椎・側彎センター医員
宮下 直人 みやした なおと
今自分にできることを、精一杯頑張ります。
⇒プロフィールの詳細はこちら

背骨の曲がりと姿勢

姿勢が悪いのは病気ですか?

イラスト: 鈴木幸代さん
整形外科外来には、よく「姿勢が悪い」「背骨が曲がっている」と、お母さんがお子さんを連れて訪れることがあります。お話を聞くと、多くのお母さんたちが「姿勢が悪いから背骨が曲がった」と信じていることがわかります。しかし本当に、姿勢の悪さと背骨が曲がることには、関係があるのでしょうか…?

ここでは、何故多くの人たちが、「姿勢」と「背骨の曲がり」を関連付けたがるのかを考えてみたいと思います。

背骨はどのように変形しますか?

背骨が曲がるとは一体、背骨がどうなっていることを想像しますか? こう尋ねられた場合、皆さんの多くはお年寄りにみられる“前屈みになった背中が曲がった状態”を想像するかもしれません。あるいは「猫背」と通常見なされる、首が前にかがむような姿勢を頭に浮かべるかもしれません。これらは「後弯」と呼ばれる背骨の曲がりでありますが、その他にもその逆に前に出っ張るように曲がる「前弯」と、横に曲がる「側弯」があります。話をわかりやすくするため、最後の「側弯」から説明したいと思います。

側弯症とはどのような病態ですか?

側弯とは、「背骨が横に曲がっている状態」を言います。いつ側弯が生じるのか、年齢から分けると以下のようになります。

  1. 生まれた時にすでに存在し、背骨の構造を形作っている「椎骨」と呼ばれる骨の形に異常があるもの(先天性)
  2. 成長期に、成長が原因で発生するもの
  3. 成壮年期になり、徐々にすり減りにより発生するもの(変性性)
  4. 老年期の高齢者に発生しやすい「圧迫骨折」や「骨粗鬆症」など、椎骨の形が二次的に変化して発生するもの

これらの時期で生じる側弯は、それぞれ原因が異なります。姿勢や身体の使い方で生じる側弯は、成長期以後に生じるもので、上記の②③④に含まれます。

何故姿勢が影響すると言われるのでしょうか?

上記①〜④の中で、姿勢と強く関係するものは何かと言われれば、それはまず成人以後に発生する側弯や後弯が挙げられます。

たとえば酪農や農業など、長い年月の間前屈みで仕事をしてきた人たちには、背骨が丸い人が多く認められています。これは前屈みで長く仕事を行うことによって引き起こされる背筋の疲労性現象の結果であり、背筋が筋萎縮をきたし、脊椎骨や椎間板のすり減りによって徐々に生じる「脊柱後弯変形」と考えられています。このように、長時間にわたって前屈みの姿勢をとることはけっして背骨に良いとはいえませんが、仕事となるとわかっていてもなかなか予防ができません。

それでは一般的にはどうでしょうか? 殆どの人は長時間前屈みでいると途中で背中が張ってきて、自然に伸びをしたくなります。実際には職業的に何年もさらされない限り、側弯や後弯が固まってしまい見てわかるほどの酷さになることは、それほど多くはありません。しかしこのタイプの背骨の曲がりは、確かに最終的には姿勢の悪さや使い方が原因といえます。このような事例があることが、背骨の曲がりが姿勢の悪さから生じると多くの人が信じてしまっている理由です。

成長期の背骨の曲がり

それでは、成長期の子供の場合はどう考えればよいのでしょうか?

背骨の変形を引き起こす疾患で最も多いのは、「特発性側弯症」と言われる思春期の女児に多い疾患です。これは背骨が捻れながら曲がってしまう病気で、不良姿勢で生じることはありません。

成長期に生じる疾患で間違われる病態に、「後弯変形」があります。お母さんたちが“猫背が気になる”と訴え来院する病態です。これには2つの状態が含まれており、身体の柔軟性が特に強いお子さんでは、他の人たちよりも強く前屈み姿勢をとれます。一見病的に見えますが、体幹筋が弱いことと、身体の柔らかさから可能となる姿勢的異常であり、「猫背」と呼ぶことができます。しかし、これらの子供たちは仰向けになる、反りかえるなどで容易にこの姿勢を正すことができます。その一方で、後弯が固く、矯正で姿勢を正すことができない「後弯変形」が小児に生じることがあります。これは「ショイエルマン病」と呼ばれる疾患で椎骨の成長障害であり、椎間板も変形してきます。猫背とは全く異なる病態であり、姿勢が悪いから生じる病態ではありません。その本態は成長障害であり、専門医による治療が必要です。

姿勢を正すことは大切ですか?

もちろん、姿勢が良いにこしたことはありません。将来の腰痛や肩こりなど、背骨のトラブルも少なくなり、外見的にも良いことは明らかです。おそらく親御さんの多くは、子供の時に「姿勢が悪い」と何度も注意されたことがあるのではないでしょうか?

しかし子供に対して“姿勢が悪い、姿勢が悪い”とストレスを与えることが、もしかすると“心の歪み”を引き起こす引き金となり得ることも、忘れてはいけません。近年の社会情勢を考えると、子供を取り巻く環境は、その精神を過度のストレス状態に陥らせていると言っても過言ではありません。自分の子供時代を振り返り、自分が親からどのように言われたか、もう一度思い出しながら姿勢について考えてみてください。

重い物を持つことは成長期の背骨に悪い影響をあたえますか?

病院を訪れた患児の親御さんから、「側弯は学校へ重い荷物を持っていくことが原因ではないですか?」と尋ねられることがあります。現在、小学生から高校生までの子供たちが毎日通学する時に持って行く荷物の重さには、皆不安を持っています。10kgを超える重量になることも珍しくないようです。しかし、「重い物を持ち上げたことで側弯が発症する」としたエビデンスはありません。欧米では日本のような重い物を持って通学することはほとんどなく、それでも側弯の発生頻度は同じです。

しかし成長期の子供たちが、常時10kg以上の荷物を持って通学することが、本当に子供たちの健康上に問題ないのかという質問には、「影響ありません」とは決して言えません。反復した機械的刺激が成長軟骨や骨の成長に影響を与えることは、古くから報告されています。ただ学問的にどの程度影響を与えるのか、という質問に答えられる研究結果は、残念ながらありません。個人差が大きく環境も異なるため、その証明がなかなかできないのがその理由の一つです。小児の背骨を専門に診察してきた医師として、可能な限り荷物の重量を減らす努力をしていただきたく思います。

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