腹腔鏡センター
腹腔鏡下手術とは
腹腔鏡手術とは、お腹を大きく開けておこなう従来の開腹手術と違い、5mm～1cm程度の穴を数ヶ所開けておこなう手術方法です。その穴の1つから、カメラ(腹腔鏡)を挿入してモニターでお腹の中を観察し、鉗子(かんし)という道具を使って手術をします。胆石症や虫垂炎の手術では、ご希望があれば単孔といって、おへそに開ける1つの穴だけで手術をおこなうことも可能です。
胃がん術後の傷 術後7日目に退院
単孔式の傷 虫垂炎の手術
鼠径ヘルニアの傷
腹腔鏡下手術の利点
腹腔鏡手術のメリットは傷が小さくて済むので
- 美容面にすぐれている
- 痛みも軽減される
- 手術後の回復が早く、早期の退院が可能
- 腹腔内を隅々まで観察できる
- 手術後の癒着が少なく腸閉塞になりにくい
腹腔鏡下手術の対象疾患
近年、鏡視下手術は目覚ましい進歩を遂げており、多くの疾患に適応が広がっています。当院でおこなっている腹腔鏡を用いた手術には、下記のようなものがあります。
予定手術
- 比較的早期の食道がん、胃がん、結腸･直腸がん
- 胆石症
- 鼠径ヘルニア(足の付け根部分の脱腸)
- 腹壁瘢痕ヘルニア(昔の手術の傷跡の脱腸)
- 肝腫瘍･膵腫瘍
- 胃粘膜腫瘍に対する内視鏡治療との合同手術
緊急手術
- 急性虫垂炎
- 急性胆嚢炎
- 腹膜炎手術(胃/十二指腸潰瘍の穿孔)
腹腔鏡下手術の実績
2015年度より積極的に腹腔鏡手術を取り入れ、2019年度は420例に鏡視下手術を経験するに至り、これは全身麻酔を要した手術935例の約45%に相当しています。なかでも虫垂炎･胆嚢炎･潰瘍穿孔の腹膜炎などの炎症性の良性疾患は、可能であれば腹腔鏡手術をおすすめします。腹腔鏡でお腹のすみずみの膿の洗浄もでき、小さな傷で済みます。特に肥満の方･炎症の強い方は従来の開腹手術では傷が大きくなるため、腹腔鏡手術はよりメリットがあると思います。
さらに、2015年からは鼠径ヘルニアにも腹腔鏡による修復手術を導入し、現在その適応は拡大しつつあります。その結果、患者さまの術後疼痛の軽減や早期社会復帰など、大きなメリットをもたらしています。
さらに、2015年からは鼠径ヘルニアにも腹腔鏡による修復手術を導入し、現在その適応は拡大しつつあります。その結果、患者さまの術後疼痛の軽減や早期社会復帰など、大きなメリットをもたらしています。
最後にメッセージ
がんの手術であれば治療ガイドラインと照らし合わせ、腹腔鏡手術の適応と判断された方は、腹腔鏡手術をひとつの選択肢として考えていただければと思います。すべての患者さまに腹腔鏡手術を勧めるわけではなく、患者さま一人ひとりに対し最良の治療法は何かを常に考え、しっかりとご説明させていただきます。最終的には患者さまご自身に決めていただくことになりますが、腹腔鏡手術は回復も早く整容性も良く、腸閉塞なども防げます。腹腔鏡手術のメリットが多いことは間違いありません。ご希望があればご相談ください。最良の選択肢を一緒に見つけましょう。
