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不整脈センター


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主な対象疾患と診療内容
一宮西病院 不整脈センターでは、心臓病の一つに分類される不整脈に対して、以下の治療および検査を専門的にご提供しております。


不整脈診療に必要な新しい知識と治療を適切に提供する目的で2012年度より日本不整脈学会・日本心電学会が合同で不整脈専門医制度の運用を開始しています。当科は日本不整脈学会・日本心電学会認定不整脈専門医が診療を担当している日本不整脈学会・日本心電学会認定不整脈専門医研修施設です。

不整脈のカテーテル治療

カテーテルアブレーション

カテーテル

不整脈は健康に過ごされてきた方にも突然発症し、生活の質を著しく低下させる病気です。治療技術の進歩により、不整脈は根治できる病気の一つになりました。直径2〜3mm程度の細いカテーテルを心臓に設置し、不整脈の原因を診断し、不整脈の原因となっている部分を治療用カテーテルで焼灼(温める)ことにより不整脈を治療します。不整脈の種類によって治療する部分が異なり、治療に要する時間も異なります。
一宮西病院では脈拍が速くなったり乱れたりする頻脈性不整脈に対して、経皮的カテーテル心筋焼灼術で治療しています。また、心房細動に対しては、クライオバルーンによる冷凍アブレーションでも治療しています。

心房細動

クライオバルーンによる冷凍アブレーション

心房細動は罹患される方が非常に多い不整脈です。脈拍が乱れたり、速く打つことで不快な症状の原因となります。しかしながら、半分の患者さまでは自覚症状がありません。自覚症状がなくても、脳梗塞などの血栓塞栓症や心不全の原因となることから、適切な治療が必要な不整脈です。
当院ではその方の心房細動の状況に応じて、カテーテル治療(カテーテルアブレーション=経皮的カテーテル心筋焼灼術もしくはクライオバルーンによる冷凍アブレーション)をおこなっており、心房細動を維持させる変化を示していると考えられている部分(Complex Fractionate Atrial Electrogram; CFAE)の焼灼、心房内の不整脈の通り道を遮断する線状焼灼、上大静脈隔離術等をオーダーメイドで追加しています。

心房粗動

高齢の方、心疾患がある方に多く見られる不整脈です。心房細動と同様に脳梗塞などの原因や心不全の原因となる可能性のある不整脈です。

発作性上室頻拍

健康な方にも見られる不整脈で、WPW症候群はこの不整脈に含まれます。突然140〜200回/分程度の頻脈になり、突然正常な脈になるのが特徴です。

期外収縮(心室性期外収縮・上室性期外収縮)

健康診断などでよく指摘されることがあります。自覚症状が強い場合に治療の適応となります。期外収縮の数・起源により、カテーテル治療で根治可能な場合があります。

心室頻拍・心室細動

生命にかかわる、心筋梗塞や心筋症といった心臓病を持つ方にみられることが多い不整脈です。不整脈の起きている場所や原因を明らかにして、治療をおこないます。基礎心疾患によっては内服治療・植え込み型除細動器が必要となります。

心房細動に対するパルスフィールドアブレーション導入

当院では、2024年11月から心房細動アブレーション機器であるパルスフィールドアブレーション(Pulse Field Ablation; PFA)を導入いたしました。

従来のアブレーションは高周波通電で熱したり、逆に冷却し熱を奪うことで細胞を障害し、肺静脈を電気的に隔離していました。しかし、組織内を伝わる熱の作用によりアブレーションをする特性上、心臓のみならずその周辺の臓器にも障害が及ぶことがあり、食道や横隔神経、肺静脈などを損傷してしまうリスクがありました。
この新しいパルスフィールドアブレーションは電気の力を利用し、カテーテルの電極に高電圧のパルス電圧をかけることで心臓の筋肉を障害させます。心臓周辺の食道や神経、肺静脈などの組織は心筋に比べて高電圧の強度が高いため、周辺臓器にはあまり影響を及ぼさないことが可能になりました。また、これまでの熱によるアブレーションでは、熱が伝わり細胞に障害を及ぼすまである程度の時間がかかりましたが、電気は一瞬で細胞を障害させます。
この結果、アブレーションの有効性はそのままで合併症のリスクが低下することが期待でき、安全でかつ短時間のアブレーションが可能になります。

当院で初めて“二酸化炭素心嚢内注入による心外膜穿刺法”を実施

図1) CO2が貯留している心外膜スペースに穿刺し、安全にワイヤーを挿入した(黄色矢印=心嚢穿刺部位)

図2) 左室後壁に存在する心室頻拍回路に対する、心内膜・心外膜アブレーションの併用

心室頻拍(VT)のカテーテルアブレーションは、一般的に大腿動静脈にカテーテルを通し心内膜から焼灼することが第一選択になりますが、難治症例の場合、心外膜側に回路が存在することが多く、次のステップとして心嚢穿刺し心外膜側から焼灼することが一般的です。しかし、心嚢液が溜まっていない状態で心嚢穿刺をおこなうと、冠動脈損傷、右室穿孔、肝臓、横隔膜損傷等の合併症が数多く報告されています。
近年、より安全な方法として二酸化炭素を心嚢内に注入し、安全なスペースを作ってから穿刺することによって、上記のような合併症を避けられることが欧米から報告されています。二酸化炭素(CO2)の注入法は、PCI用のガイドワイヤー(0.014”)で冠静脈の抹消の枝から意図的に小さい穿孔を作って、マイクロカテーテルに交換しそこから心嚢内にCO2を安全に注入することができます。注入したCO2は無害であり、10分程度ですべて血液に溶解します。また、穿孔した静脈の抹消の0.014”の穴のヘパリン投与後でも出血は認めません。

ヨーロッパ、オーストラリアでは数百例おこなわれており、合併症が報告されず、従来法より安全でありスタンダードな心外膜穿刺法になりつつあります。2024年7月に当院で初めてこの方法を使用し、難治性の心室頻拍で苦しんでいる患者さまに心外膜アブレーションの治療に成功しました。また、2024年10月には、当院で2例目となる心室頻拍の治療に成功しています。

ペースメーカ移植術

脈拍が遅くなることで、めまいや失神、心不全の原因となる不整脈に対してペースメーカ治療をおこないます。当院では、新規のペースメーカ移植術に対して、条件付きMRI対応ペースメーカを使用しています。またMRI対応ペースメーカ移植術後の方のMRI検査も実施しています。

リードレスペースメーカ

従来のペースメーカは、外科手術で皮膚を切開し、皮下ポケットを設けて装置を植え込み、静脈を通して、リードを心臓内に留置する必要がありました。それに対して、リードレスペースメーカは、本体を皮下に植え込むのではなく、カテーテルを用いて心臓内に送り込み、小さなフックで直接心壁に取り付けます。リードレスペースメーカは、皮下ポケットもリードも不要なため、それらに関連した合併症のおそれがありません。また、外科手術による傷もなく、装置のふくらみもないため、装置を意識することなく生活できます。

植込み型除細動器移植術(ICD)およびペーシングによる心不全治療(CRT)

心臓突然死は、症状出現から1時間以内の心臓病を原因とする予期せぬ突然の自然死と定義されており、ほとんどの心臓突然死は心室細動と心室頻拍によるものです。当科では心臓突然死を未然に防ぐために、必要に応じて治療(植込み型除細動器: ICD)をおこなっています。また、心不全の方では心臓突然死の危険が高くなることもわかっており、植込み型除細動器による心臓突然死の対応だけでなく、ペースメーカによる心不全治療(心臓再同期療法: CRT)もおこなっています。

皮下植え込み型除細動器(S-ICD)

わきの下に植え込まれた本体と、皮下に留置されたリードを使って、電気ショックによる救命治療をおこないます。このシステムは、本体とリードが心臓や血管に触れないため、経静脈ICDシステムよりも植え込みによる合併症の発生率が少ないという利点があります。

原因不明の失神に対する精査

失神は突然意識を失い、大きな事故に至る可能性のある危険な状態です。失神を起こされた場合、現状では脳神経外科などを受診される方が多く、頭部のMRICT検査がおこなわれています。一般には知られていませんが、心臓の病気が原因となって失神を起こすことが、かなりの頻度であることが報告されています。短期間におこなわれる検査で失神の原因が明らかにならない場合、埋込型心電記録計(体内に設置する小さな心電図記録計)による長期間の観察をおこなうことで、心臓病を原因とする失神が明らかになり、適切な治療が選択できるようになってきました。当院でも必要に応じて埋込型心電記録計による失神の精査をおこなっています。
画像提供 ※順不同
ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社
日本メドトロニック株式会社
ボストン・サイエンティフィック ジャパン株式会社

失ったものを取り戻す! 若返りの心房細動治療

アンチエイジングアブレーション (Anti-Aging Ablation; AAA)

術中の超音波を利用した画像(造影剤未使用)

術前のCT画像(造影剤未使用)

心房細動は年齢とともに増加し、自然に治ることはほとんどなく進行し続けてしまう病気です。年齢とともに増加する不整脈であるため、カテーテル治療をされる患者さまは60〜80歳代の方が中心です。人間はどうしても年には勝てないもので、年齢とともに不整脈も増えますが、同時に腎臓の機能も少しずつ落ちてしまいます。70歳代ではおよそ3人に1人、80歳代ではおよそ2人に1人の方は、自覚症状がなかったとしても腎臓病を抱えております。腎臓病も一度悪くなると自然に治ることはなく、進行し続けてしまう病気です。

従来の心房細動に対するカテーテル治療(カテーテルアブレーション)は、治療前・治療中・治療後のいずれの時期においても造影剤が必要でした。この造影剤は腎臓に負担をかけてしまう薬剤ですので、今まではある程度、腎臓を犠牲にしながら心房細動治療をおこなってきたのが実情でした。
当院では医療機器を駆使し、少しでも腎臓の機能が悪い方や造影剤に対してアレルギーがある方は、治療前・治療中・治療後のいずれの時期においても造影剤を一切使用しないアブレーション治療をおこなっています。この治療法は腎臓の機能を悪化させないだけではなく、心房細動を治療することによって心臓の機能はもちろんですが、腎臓の機能も治療前より改善することが証明されています。

年齢とともに失った心臓と腎臓の機能を取り戻す、若返りの治療でありますアンチエイジングアブレーション(Anti-Aging Ablation; AAA)。造影剤を使用しない心房細動アブレーションは、国内のみならず海外学会・論文・書籍・映像作品などの多分野で採用・取り上げられており、実際に国内・海外の多数の病院から見学に来ていただく、もしくは足を運んで指導をおこなってきた実績があります。

少しでも腎臓や造影剤に不安をお持ちの患者さま・医療機関関係者の方々は、いつでもお問い合わせください。
※治療を受けられた方の御許可をいただき、掲載しております

ドクター紹介

循環器内科部長 / 不整脈センター長
古川 善郎 ふるかわ よしお
動悸や息切れなど、不整脈でお困りの方はぜひご相談ください。患者様にとって一番良いと思われる方法を一緒に見つけましょう。
⇒プロフィールの詳細はこちら

循環器内科医長
髙瀬 哲郎 たかせ てつろう
新しい医療技術の維持と、患者さんに寄り添う医療の両立を目指します。
⇒プロフィールの詳細はこちら

循環器内科医長
篠田 明紀良 しのだ あきら
周りの方への思いやりの心を忘れず、
謙虚な姿勢で医療に取り組みたいと思います。
⇒プロフィールの詳細はこちら

症例数

2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
不整脈に対するカテーテル検査並びに治療
(カテーテルアブレーション)
383 206 257 394 394
ペースメーカ件数
(リードレスペースメーカ含む)
111 111 58 112 115
┗ 内 除細動機能付きペースメーカ
(ICD、CRT-D、S-ICD)
34 32 9 28 28

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