第7回 僧帽弁閉鎖不全症/弁形成術
(小高)水曜日のこの時間は『健康のつボ~心臓病について~』。適切な治療を行わなければ死にも直結する心臓病について、専門の先生にお話をうかがっています。一宮西病院 ハートセンターセンター長 心臓血管外科部長 弁膜症センター長の澤﨑優(さわざき まさる)先生です。
(小高)先左心房から左心室の間にある弁が「僧帽弁」。その僧帽弁がきっちり閉まらなくなって、十分な血液が送り込めなるのが僧帽弁閉鎖不全症です。
(つボイ)はい、僧帽弁はパラシュートのようなイメージで、弁に何本ものひもがつながっている。そのひもが切れることで僧帽弁の位置がずれることが閉鎖不全症の原因になっていくということでした。
(小高)前回、つボイさんが「切れたひもをつなぐことは出来ないの?」って聞いたら、先生「いいアイデアですね!」って誉めてましたよね(笑)
(つボイ)えっへん!病気の治療方法にも口を出す男なもんで(笑)
(小高)何が『いいアイデア』なのか?今日の話はそこから聞いていきます。澤﨑先生です!
~~~~~~~~
(つボイ)先生、そのひもは結べんもんなんですか?(笑)
(澤﨑)いや~、それはいアイデアで…(笑)実はそのひもに代わる「ゴアテックスの糸」というものあるんです。それを使って直す方法も現在されております。
(小高)ほぉ~!
(つボイ)ほぉ~!
(澤﨑)しかし、ひもが切れるだけじゃなくて、ひもと繋っている膜も変性して大きくなっているので、根本的な治療というのは、変性した膜を正常な大きさに戻して、必要であれば先程おっしゃられたような感じで、ひもで繋ぐ治療を行う、という流れですね。ただそのひもも人工物ですから、10年経つと切れることがあるんですよね。
(小高)はぁ~。
(つボイ)はぁ~。
(澤﨑)昔、僕もこれまで500人ほど治療させてもらいましたけど、4人ほどの方は切れてました。なので「再手術」というわけです。今度は前回よりもひもの数を2倍ほどに増やして、ひも1本にかかる圧を減らすという方法をとってます。
(小高)そうするとこの僧帽弁の場合は、前回の大動脈弁のときのような、「弁を入れ替える」という方法ではない、ってことですね?
(澤﨑)以前は全部それ(※弁を入れ替える方法)でした。私が留学して学んできたのは、この『僧帽弁形成術』です。1992年、当時はまだ日本ではほとんど人口弁でしたが、欧米では弁形成術というのが進んでいて、10年以上行われている方法で実績も出ている、これを日本でうやらないのは勿体ないと。で留学で覚えて日本に帰ってきて、それから30年以上日本でその術式を行っています。30年経った今言える事なのですが、30年以上経った今でも、「非常に長持ち」です。生体弁(=ブタの大動脈弁やウシの心膜(心臓を覆う膜)から作られた人工弁)の10年や15年とは違って、20年も、30年もちますし、ほとんどの方が一生で1回の手術で済んでいます。
(小高)非常に有効な…!
(澤﨑)非常に有効です。最初はですね、その手術の傷をもっと小さいものにできないか?という工夫が進んでおりまして、MICS(ミックス)って言うんです。MICS(Minimally Invasive Cardiac Surgery:低侵襲心臓手術:ミックス)。小さな傷で胸の前を切るんですけれども、肋骨の間を切って内視鏡で中をのぞきながら、長ぁ~い道具で治すんです。
(つボイ)ほぉ!
(小高)肋骨を切らずに。
(澤﨑)肋骨は切らないです。
(つボイ)それは、大分負担が軽いですね!
(澤﨑)ただ、手術の操作は非常にやりにくくて……かなり手慣れた人でやらないといけなくてですね。
(小高)そうですよねぇ~。
(澤﨑)あと、手の込んだ手術はなかなか難しい。道具は1方向にしか回転しないから、更に今度はロボットを使います。ロボットは道具の先に「アーム」というのが付いてまして、どんな方向にでも回るんです!それでかなり正中切開に近い手術が可能になります。
(小高)なるほど、肋骨開けてやるのと同じような手術ができると。
(澤﨑)ええ、ただ心臓を止める時間だとか、体外循環の時間とかは、MICSロボットの方が長くかかりますので。その時間を何とか短縮できないかと工夫をしております。
(つボイ)手術時間が長いとやっぱりその分、患者さんの体に負担がかかる。ということですかね?
(澤﨑)まぁ、ある意味。ただ、安全な手術を選んでなさっているので、それほど危険な状態になることは少ないです。
~~~~~~~~
(つボイ)ねぇ~!私の素敵なアイデアにまさか説明が入るとは(笑)そして、ゴアテックスのひもで繋げるという…家にありますわ、ゴアテックス(笑)雨カッパのやつ(笑)
(小高)ゴアテックスでも、治療用のちゃんとしたゴアテックスですよ!(笑)
(つボイ)雨カッパ貸したってもええかなと。
(小高)だからそのひもではないですって(笑)今では『弁置換術(=人口のものに置き換える)』だけではなく、『弁形成術』も有力な治療法であると。しかも!低侵襲な手術法も行われているそうなので、患者さんに合った色んな選択ができそうですね。
(つボイ)ですね!(笑)
(小高)さて、来週もこのコーナーは『心臓のお話』を取り上げていきます。
(小高)そしてこの『健康のつボ』では、いろいろな病気について専門家の先生に解説していただいております。みなさんもテーマとして取り上げてほしい病気や症状などがありましたら、このコーナーまでお寄せください。専門の先生に教えていただきます。
(つボイ)はい、質問お待ちいたしております!
(小高)『健康のつボ~心臓病について~』でした。
(小高)先左心房から左心室の間にある弁が「僧帽弁」。その僧帽弁がきっちり閉まらなくなって、十分な血液が送り込めなるのが僧帽弁閉鎖不全症です。
(つボイ)はい、僧帽弁はパラシュートのようなイメージで、弁に何本ものひもがつながっている。そのひもが切れることで僧帽弁の位置がずれることが閉鎖不全症の原因になっていくということでした。
(小高)前回、つボイさんが「切れたひもをつなぐことは出来ないの?」って聞いたら、先生「いいアイデアですね!」って誉めてましたよね(笑)
(つボイ)えっへん!病気の治療方法にも口を出す男なもんで(笑)
(小高)何が『いいアイデア』なのか?今日の話はそこから聞いていきます。澤﨑先生です!
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(つボイ)先生、そのひもは結べんもんなんですか?(笑)
(澤﨑)いや~、それはいアイデアで…(笑)実はそのひもに代わる「ゴアテックスの糸」というものあるんです。それを使って直す方法も現在されております。
(小高)ほぉ~!
(つボイ)ほぉ~!
(澤﨑)しかし、ひもが切れるだけじゃなくて、ひもと繋っている膜も変性して大きくなっているので、根本的な治療というのは、変性した膜を正常な大きさに戻して、必要であれば先程おっしゃられたような感じで、ひもで繋ぐ治療を行う、という流れですね。ただそのひもも人工物ですから、10年経つと切れることがあるんですよね。
(小高)はぁ~。
(つボイ)はぁ~。
(澤﨑)昔、僕もこれまで500人ほど治療させてもらいましたけど、4人ほどの方は切れてました。なので「再手術」というわけです。今度は前回よりもひもの数を2倍ほどに増やして、ひも1本にかかる圧を減らすという方法をとってます。
(小高)そうするとこの僧帽弁の場合は、前回の大動脈弁のときのような、「弁を入れ替える」という方法ではない、ってことですね?
(澤﨑)以前は全部それ(※弁を入れ替える方法)でした。私が留学して学んできたのは、この『僧帽弁形成術』です。1992年、当時はまだ日本ではほとんど人口弁でしたが、欧米では弁形成術というのが進んでいて、10年以上行われている方法で実績も出ている、これを日本でうやらないのは勿体ないと。で留学で覚えて日本に帰ってきて、それから30年以上日本でその術式を行っています。30年経った今言える事なのですが、30年以上経った今でも、「非常に長持ち」です。生体弁(=ブタの大動脈弁やウシの心膜(心臓を覆う膜)から作られた人工弁)の10年や15年とは違って、20年も、30年もちますし、ほとんどの方が一生で1回の手術で済んでいます。
(小高)非常に有効な…!
(澤﨑)非常に有効です。最初はですね、その手術の傷をもっと小さいものにできないか?という工夫が進んでおりまして、MICS(ミックス)って言うんです。MICS(Minimally Invasive Cardiac Surgery:低侵襲心臓手術:ミックス)。小さな傷で胸の前を切るんですけれども、肋骨の間を切って内視鏡で中をのぞきながら、長ぁ~い道具で治すんです。
(つボイ)ほぉ!
(小高)肋骨を切らずに。
(澤﨑)肋骨は切らないです。
(つボイ)それは、大分負担が軽いですね!
(澤﨑)ただ、手術の操作は非常にやりにくくて……かなり手慣れた人でやらないといけなくてですね。
(小高)そうですよねぇ~。
(澤﨑)あと、手の込んだ手術はなかなか難しい。道具は1方向にしか回転しないから、更に今度はロボットを使います。ロボットは道具の先に「アーム」というのが付いてまして、どんな方向にでも回るんです!それでかなり正中切開に近い手術が可能になります。
(小高)なるほど、肋骨開けてやるのと同じような手術ができると。
(澤﨑)ええ、ただ心臓を止める時間だとか、体外循環の時間とかは、MICSロボットの方が長くかかりますので。その時間を何とか短縮できないかと工夫をしております。
(つボイ)手術時間が長いとやっぱりその分、患者さんの体に負担がかかる。ということですかね?
(澤﨑)まぁ、ある意味。ただ、安全な手術を選んでなさっているので、それほど危険な状態になることは少ないです。
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(つボイ)ねぇ~!私の素敵なアイデアにまさか説明が入るとは(笑)そして、ゴアテックスのひもで繋げるという…家にありますわ、ゴアテックス(笑)雨カッパのやつ(笑)
(小高)ゴアテックスでも、治療用のちゃんとしたゴアテックスですよ!(笑)
(つボイ)雨カッパ貸したってもええかなと。
(小高)だからそのひもではないですって(笑)今では『弁置換術(=人口のものに置き換える)』だけではなく、『弁形成術』も有力な治療法であると。しかも!低侵襲な手術法も行われているそうなので、患者さんに合った色んな選択ができそうですね。
(つボイ)ですね!(笑)
(小高)さて、来週もこのコーナーは『心臓のお話』を取り上げていきます。
(小高)そしてこの『健康のつボ』では、いろいろな病気について専門家の先生に解説していただいております。みなさんもテーマとして取り上げてほしい病気や症状などがありましたら、このコーナーまでお寄せください。専門の先生に教えていただきます。
(つボイ)はい、質問お待ちいたしております!
(小高)『健康のつボ~心臓病について~』でした。