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第10回 大動脈弁二尖弁の形成術


(小高)水曜日のこの時間は『健康のつボ~心臓病について~』。適切な治療を行わなければ死にも直結する心臓病について、専門の先生にお話をうかがっています。一宮西病院 ハートセンターセンター長 心臓血管外科部長 弁膜症センター長の澤﨑優(さわざき まさる)先生です。

(小高)ここのところ澤﨑先生ご専門の心臓弁膜症について教えてもらっていますよ。

(つボイ)どこの弁が悪いのか、狭くなっていて血液の流れが悪いのか、しっかり閉まらずに逆流しているのかなど、どう悪いのかによって治療法も変わってくるということでしたね。

(小高)根治させるには手、人工弁に置き換えるか、自身の弁を生かす弁形成術か、という選択になります。しっかりセカンドオピニオンを聞くことも大事だそうですよ。

今日は大動脈弁の閉鎖不全症、狭窄症の原因のひとつにあげられる二尖弁についてうかがいます。

澤﨑先生です。

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(澤﨑)大動脈弁というのものは、3つの膜からできている三尖弁なんですね。3つの膜が重なり合って、120度ですよね。120度の角度は開いた時の面積が最大になる、またうまく閉じやすい。これが4枚だと閉じにくいのわかりますか?8枚だとさらに閉じにくいですよね。これは神様が創りだしたもので、もっとも合理的な3枚の膜でできています。

実は1クラスか2クラスにひとり、二尖弁の人がいます。

(小高)本来は3枚の膜なんだけれども、それが先天的に2枚の人がいるってことですね。

(澤﨑)心臓はね、赤ちゃんができたら3か月くらいででき上がるんですけども、その時に大動脈弁の膜が3枚にうまく分かれない人がいるんですね。それで3枚のうちの2枚がくっついちゃってる。

(小高)そうするとやっぱり、閉じにくかったりとか不都合が出たりはするんですか?

(澤﨑)実は最初はほとんど症状はありません。病気になってくるのは2パターンあるんですが、

1つのパターンは若い時、10代後半から20代前半に2枚のくっついた方の弁が落ち込んじゃって逆流を起こしてくる。
『大動脈弁逆流』これは治療の対象になります。

(つボイ)(小高)はい。

(澤﨑)もう1つは人生の後半ですね。3枚の方でもなるんですけど『大動脈弁狭窄症』、これは3枚の方は70代で起こるんですが、2枚の方は狭くなりやすくて60代で起きてきます。これも手術の対象になります。

(小高)ということは、膜が2枚だということそのものが病気というわけではないんだけれども、病気になりやすい資質を持ってしまっているということなんですね。

(澤﨑)その通りです。

(小高)そうすると、まず自分が二尖弁ということを知っておくことが大事ってことですか?

(澤﨑)これはね、ほとんどわからないです。

(小高)わからない!

(つボイ)なんかレントゲン撮ったら見えそうなのに。

(澤﨑)見えないんです。聴診器でもわからないです。病気になってればわかりますよ。病気になる前はわからないから、みんな知らないうちになってる。

(つボイ)ほぉ~。

(澤﨑)今、循環器内科では聴診器代わりに超音波をしたりすることもあるんですけど、そうするとすぐに診断がつきます。でも、すぐに治療が必要かといったらそうじゃない。

(小高)はい。

(澤﨑)ここで大事なはなしが1つあるんですが、大動脈弁二尖弁の逆流のほうですね。従来は、まぁ20年以上前はですね、人工弁置換してたんです。

(小高)すっかり置き換えちゃうということですね。

(澤﨑)20歳くらいの方にね。生体弁だと15年くらいしか持たないから困りますよね。ただ女性の方だと生体弁を使わないと、機械弁だとワーファリンを飲まなくちゃいけない。

(小高)お薬ですね。

(澤﨑)ワーファリンには催奇形性がある。

(小高)催奇形性?

(澤﨑)赤ちゃんを産めない。出産の時にも母子共に50%の生命の危険がある。

(つボイ)へぇ~!そらいかんわ。

(澤﨑)だから機械弁は入れられないですよね。そうすると生体弁を入れて10年経ってそのうちひとりかふたり産みなさいと、産み終わって弁が壊れたら機械弁に換える。というのが昔のやり方。

(つボイ)なるほど。

(小高)でもこれ大変ですよね。

(澤﨑)それでね、私の得意な手術が実はあるんですよ。この二尖弁を、自分の弁を残したまま形成するんです。

(つボイ)具体的に2枚しかないのをどうするんですか?

(澤﨑)2枚の高さのズレを矯正して直してあげて、等しい2枚にする。

(小高)2枚は2枚のまんまなんだけれども、ちゃんと閉じやすい、きっちり合うような2枚にする。

(澤﨑)きっちり合うような2枚に形成してやるとういことですね。これをどこの病院でもやってくれるわけじゃなくて、弁置換しましょうと言われることがあるので、弁形成術ということを聞いたことがあるのですができないものでしょうかと。それを聞いてみるというのは非常に大事なことです。

(つボイ)なるほど~。



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(小高)二尖弁であるということ自体が病気いうことではないのですが、やっぱりそうであると大動脈弁閉鎖不全症にも、
大動脈弁狭窄症にもなりやすいということなんだそうです。

(つボイ)だからまぁ、治療時にはやっぱりいろんな意見を聞くというのがいいことですね。

(小高)来週も澤﨑先生にお聞きします。

(小高)そしてこの『健康のつボ』では、いろいろな病気について専門家の先生に解説していただいております。みなさんもテーマとして取り上げてほしい病気や症状などがありましたら、このコーナーまでお寄せください。専門の先生に教えていただきます。

(つボイ)はい、質問お待ちしております!

(小高)『健康のつボ~心臓病について~』でした。


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