第11回 男性の乳がん
(小高)
今月からこの時間は『健康のつボ~乳がんについて~』です。女性であれば誰でも気になる「乳がん」について、一宮西病院 乳腺外科 部長で「乳腺専門医」の鈴木瞳(すずきひとみ)先生にお話をうかがっていきます。
(小高)
乳がんは、日本人の女性のがん患者の中で一番多いがんです・・・とずっと言い続けて来ましたが!そのこと自体は事実なんですが、男性がまるっきり関係ないという訳ではありません!
(つボイ)
この番組でも、時々、おたよりもいただきますよね。男性の乳がん!
(小高)
そうなんです。今日は、男性の乳がんについて。鈴木先生にうかがいます!
~~~~~~~
(鈴木)
男性でも乳がんに罹患される方はいらっしゃいます。何故かと言うと、乳がんは”乳腺にできるがん”で、乳腺は男性にもあります。したがって、男性でも乳がんになり得るということです。ただ男性が乳がんになる割合は少なく、女性の患者100人~150人に対して、男性患者は1人程度の割合です。加えて、女性に比べて発症する年齢が5~10歳ぐらい高いということ。男性の場合、65歳以降に発症する方がおよそ7割といわれています。
(つボイ)
ええ~~~~っ!そうなんですね。
(鈴木)
男性の場合は、乳腺が乳頭乳輪のすぐ下にしか広がっていないことがほとんどなので、乳頭乳輪付近が好発部位になります。
(つボイ)
わ~~覚えとこ!
(小高)
男性が乳がんになる理由って、何かあるんでしょうか?
(鈴木)
男性乳癌の場合は、15~20%に”乳癌の家族歴”があります。また乳がんだけでなく、卵巣がん、前立腺がんの家族歴があるような患者さんもいまして、遺伝にかかわる乳癌の確率が高い、ということが知られています。このような遺伝的な素因の他、胸部や乳房への”放射線治療歴がある場合”や、何らかの理由で”女性ホルモンの分泌量が多い場合”も男性乳癌のリスクがあります。
(つボイ)
今までめちゃくちゃ他人事だと思ってた・・・。
(小高)
以前お便りも来てたんですけれども、男性の場合「あれっ?」と思った時に受診するのは「乳腺科(乳腺外科)」でいいんでしょうか?
(鈴木)
男性の乳がんも検査や治療法が女性と変わる訳ではありません。予後的にも女性の乳がんと大きな差はありませんので、乳がんの専門機関で適切に診断して治療を受けることが非常に大切です。ただ、男性乳癌の患者さんはまさか自分が乳がんだと思わない方が多く、胸のしこりが気になってから”外科”や”皮膚科”を受診されるケースが多くみられます。そこで乳がんが疑われて乳腺外科に紹介されることが多いです。最初に乳腺科を受診することにためらいがあれば、まずはかかりつけの先生に相談してみるのも良いかと思います。
(つボイ)
はい。でもそりゃ・・・ねぇ!まず、待合室だけでも・・・ためらいが。
(鈴木)
そうですよね・・・。
(小高)
でも、男性が乳がんを見つける方法として・・・男性の定期検診で乳がんって入ってないですよね?
(鈴木)
はい。男性の定期検診に乳がんの検査は入っていませんから、その分普段から意識していないと発見が遅れがちです。
(小高)
男性こそセルフチェックが必要なのでは・・・?
(つボイ)
以前お聞きしたあの方法で?
(鈴木)
そうですね!特に男性の場合は、乳頭乳輪付近の乳腺が集まってる部分にしこりがないかどうか、ぜひこの機会にチェックしてみて下さい。
(つボイ)
で、そこでまさか、しこりを発見した場合はどうしたらいいんでしょうか?
(鈴木)
男性の場合もセルフチェックはとても大切です。ただセルフチェックでしこりがあったからと言って、すべてが乳がんという訳ではないんです。実際、乳腺科を受診した男性の9割以上は乳がんではなく、「女性化乳房症」と診断されています。
(つボイ)
えっ?今、なんですって???
(鈴木)
はい。「女性化乳房症」とは、男性の乳腺が発達して、女性の様に乳房が膨らんでくる症状のことで、良性の疾患です。特に悪性化することはありません。ホルモンバランスが変動する”思春期”や”更年期”に発症しやすいと言われています。前立腺肥大症の薬など、”ホルモンに影響する薬”が原因となることもあります。その他には、内分泌疾患や肝臓の疾患が原因になったり、特定の高血圧の薬や抗生剤などが原因となることもありますが、特に原因もなく、生理的な乳腺の肥大で発症する、ということも多いです。
(小高)
「女性化乳房症」って、治療した方がいいんでしょうか?
(鈴木)
ほとんどの場合は、経過観察のみで自然に軽快することも多いので治療は不要です。ただ、原因となる薬が特定された際には、リスクとベネフィットを検討した上で薬の中止や変更をすることがあります。また「女性化乳房症」の方の中には、膨れている部分の痛みが非常に強い方もいらっしゃって、薬物治療や、ごくまれに手術を行うということもあります。いずれにしても、気になったら医療機関で診断を受けていただきたいと思います。
(小高)
え~~っと・・・男性もおっぱいの病気になる!ということですね。
(鈴木)
そういうことになります(笑)
(つボイ)
はい・・・気を付けたいと思います!
~~~~~~~
(つボイ)
いや~~乳房のしこりは”乳がん”だけでなく、「女性化乳房症」というのもあるんですね。
(小高)
そうですね。しこり=乳がん!って訳でもないようですが、いずれにしても、男性だからといって受診が遅れると、がんだった場合に進行しているケースがありますから、恥ずかしがらずにちゃんと受診していただきたいですね。どうしても恥ずかしい!という方は、パートナーがいらっしゃる場合は、いっしょに行ってもらうと、乳腺科もちょっとは行きやすくなるかもしれないですね。待合室がね、なかなか恥ずかしいとは思いますけれど、奥さんについてきてもらうとか(笑)
(つボイ)
奥さんのつきそいのフリして本当は自分!って感じですかね(笑)いやしかし命には代えられません。堂々と行きましょう!
(小高)
『健康のつボ~乳がんについて~』でした。
今月からこの時間は『健康のつボ~乳がんについて~』です。女性であれば誰でも気になる「乳がん」について、一宮西病院 乳腺外科 部長で「乳腺専門医」の鈴木瞳(すずきひとみ)先生にお話をうかがっていきます。
(小高)
乳がんは、日本人の女性のがん患者の中で一番多いがんです・・・とずっと言い続けて来ましたが!そのこと自体は事実なんですが、男性がまるっきり関係ないという訳ではありません!
(つボイ)
この番組でも、時々、おたよりもいただきますよね。男性の乳がん!
(小高)
そうなんです。今日は、男性の乳がんについて。鈴木先生にうかがいます!
~~~~~~~
(鈴木)
男性でも乳がんに罹患される方はいらっしゃいます。何故かと言うと、乳がんは”乳腺にできるがん”で、乳腺は男性にもあります。したがって、男性でも乳がんになり得るということです。ただ男性が乳がんになる割合は少なく、女性の患者100人~150人に対して、男性患者は1人程度の割合です。加えて、女性に比べて発症する年齢が5~10歳ぐらい高いということ。男性の場合、65歳以降に発症する方がおよそ7割といわれています。
(つボイ)
ええ~~~~っ!そうなんですね。
(鈴木)
男性の場合は、乳腺が乳頭乳輪のすぐ下にしか広がっていないことがほとんどなので、乳頭乳輪付近が好発部位になります。
(つボイ)
わ~~覚えとこ!
(小高)
男性が乳がんになる理由って、何かあるんでしょうか?
(鈴木)
男性乳癌の場合は、15~20%に”乳癌の家族歴”があります。また乳がんだけでなく、卵巣がん、前立腺がんの家族歴があるような患者さんもいまして、遺伝にかかわる乳癌の確率が高い、ということが知られています。このような遺伝的な素因の他、胸部や乳房への”放射線治療歴がある場合”や、何らかの理由で”女性ホルモンの分泌量が多い場合”も男性乳癌のリスクがあります。
(つボイ)
今までめちゃくちゃ他人事だと思ってた・・・。
(小高)
以前お便りも来てたんですけれども、男性の場合「あれっ?」と思った時に受診するのは「乳腺科(乳腺外科)」でいいんでしょうか?
(鈴木)
男性の乳がんも検査や治療法が女性と変わる訳ではありません。予後的にも女性の乳がんと大きな差はありませんので、乳がんの専門機関で適切に診断して治療を受けることが非常に大切です。ただ、男性乳癌の患者さんはまさか自分が乳がんだと思わない方が多く、胸のしこりが気になってから”外科”や”皮膚科”を受診されるケースが多くみられます。そこで乳がんが疑われて乳腺外科に紹介されることが多いです。最初に乳腺科を受診することにためらいがあれば、まずはかかりつけの先生に相談してみるのも良いかと思います。
(つボイ)
はい。でもそりゃ・・・ねぇ!まず、待合室だけでも・・・ためらいが。
(鈴木)
そうですよね・・・。
(小高)
でも、男性が乳がんを見つける方法として・・・男性の定期検診で乳がんって入ってないですよね?
(鈴木)
はい。男性の定期検診に乳がんの検査は入っていませんから、その分普段から意識していないと発見が遅れがちです。
(小高)
男性こそセルフチェックが必要なのでは・・・?
(つボイ)
以前お聞きしたあの方法で?
(鈴木)
そうですね!特に男性の場合は、乳頭乳輪付近の乳腺が集まってる部分にしこりがないかどうか、ぜひこの機会にチェックしてみて下さい。
(つボイ)
で、そこでまさか、しこりを発見した場合はどうしたらいいんでしょうか?
(鈴木)
男性の場合もセルフチェックはとても大切です。ただセルフチェックでしこりがあったからと言って、すべてが乳がんという訳ではないんです。実際、乳腺科を受診した男性の9割以上は乳がんではなく、「女性化乳房症」と診断されています。
(つボイ)
えっ?今、なんですって???
(鈴木)
はい。「女性化乳房症」とは、男性の乳腺が発達して、女性の様に乳房が膨らんでくる症状のことで、良性の疾患です。特に悪性化することはありません。ホルモンバランスが変動する”思春期”や”更年期”に発症しやすいと言われています。前立腺肥大症の薬など、”ホルモンに影響する薬”が原因となることもあります。その他には、内分泌疾患や肝臓の疾患が原因になったり、特定の高血圧の薬や抗生剤などが原因となることもありますが、特に原因もなく、生理的な乳腺の肥大で発症する、ということも多いです。
(小高)
「女性化乳房症」って、治療した方がいいんでしょうか?
(鈴木)
ほとんどの場合は、経過観察のみで自然に軽快することも多いので治療は不要です。ただ、原因となる薬が特定された際には、リスクとベネフィットを検討した上で薬の中止や変更をすることがあります。また「女性化乳房症」の方の中には、膨れている部分の痛みが非常に強い方もいらっしゃって、薬物治療や、ごくまれに手術を行うということもあります。いずれにしても、気になったら医療機関で診断を受けていただきたいと思います。
(小高)
え~~っと・・・男性もおっぱいの病気になる!ということですね。
(鈴木)
そういうことになります(笑)
(つボイ)
はい・・・気を付けたいと思います!
~~~~~~~
(つボイ)
いや~~乳房のしこりは”乳がん”だけでなく、「女性化乳房症」というのもあるんですね。
(小高)
そうですね。しこり=乳がん!って訳でもないようですが、いずれにしても、男性だからといって受診が遅れると、がんだった場合に進行しているケースがありますから、恥ずかしがらずにちゃんと受診していただきたいですね。どうしても恥ずかしい!という方は、パートナーがいらっしゃる場合は、いっしょに行ってもらうと、乳腺科もちょっとは行きやすくなるかもしれないですね。待合室がね、なかなか恥ずかしいとは思いますけれど、奥さんについてきてもらうとか(笑)
(つボイ)
奥さんのつきそいのフリして本当は自分!って感じですかね(笑)いやしかし命には代えられません。堂々と行きましょう!
(小高)
『健康のつボ~乳がんについて~』でした。