第6回 保存療法
(小高)
水曜日のこの時間は「健康のつボ」。40代・50代から痛みを訴える人が増えはじめ、その痛みをかばうことで、腰や膝に影響が広がることが多いという「股関節の痛み」について、一宮西病院 整形外科 股関節センター長中北吉厚(なかきた・よしあつ)先生にお話をうかがっていきます。診察やレントゲンなどの検査の結果、『変形性股関節症』と診断されたら、どんな治療法になるんでしょうか?
(つボイ)
痛みは早く取りたいけど、いきなり「手術」というのもハードルが高い!
(小高)
今日は変形性股関節症の治療法についてうかがいます。中北先生です。
~~~~~~~~
(中北)
まず肥満の人は体重を減らして頂きたい、そして適切に筋力を鍛えていくリハビリテーションということになります。
(つボイ)
先生、まず手術をしてともおっしゃってましたが…
(中北)
そうですね、手術というものは誰しも避けられるものなら避けたいと思っていますので。
(つボイ)
確かに、気持ちはようわかります!じゃあ、これは変形性股関節症だから手術!というわけではないんですね?
(中北)
全く違います。レントゲンですり減っているからと言って、それが即手術につながる訳ではないんですね。
(小高)
体重を減らすということは、食事療法ですか?
(中北)
はい、ダイエットと聞くと、じゃあなんかすごく頑張って運動ですか?っておっしゃる方多いんですけれども、そもそも股関節が痛いわけですから、激しい運動もできませんし。一番大事なのが食事なんですね。食事量を減らして、体重を頑張って標準まで落として頂きたいですね。
(小高)
そして、筋肉を作るというところで運動。
(中北)
はい、そうですね。
(小高)
でも先生がおっしゃった様に、股関節が痛くないタイプの方はいいでしょうけど、痛いタイプの方はなかなか運動って難しいと思うんですが。
(中北)
はい、おっしゃる通りで、激しい動きは余計痛みが増してしまいます。股関節というのは太ももの骨を、骨盤が受け皿として受けていますので、 その受け皿の骨盤が太ももの動きに連動して動いてくれることがとても大切なんですね。これは肩でいう肩甲骨の動きと共通しているんですが、その動きが、年齢とともに体が固くなることの一環として、骨盤の動きが悪くなっている方がいらっしゃるので、まずはリハビリの先生と一緒にしっかり動きを出して、太ももの動きとちゃんと連動できる骨盤の動きを出すというのがまずとても大切だと思います。例えばバレエダンサーが足を高く上げたりしますよね。あれは股関節の可動域だけで出しているのではなく、骨盤もかなり動いて足を高く上げている。見た目がすごく上に上がっているのは、股関節の動きプラス骨盤が傾いて上がっているんですね。これは極端な例ですけれども、それくらい日常の生活においても骨盤の協調運動、骨盤が一緒に動いてくれるということが大切なんですね。
(小高)
はい。
(中北)
そして二つ目が筋力の部分になるんですが、一般的なイメージで股関節の筋トレというと、お尻の中殿筋(ちゅうでんきん)という比較的大きな筋肉があるんですけれども、中殿筋トレーニングなんて言われるんですが、わかりやすく大きな筋力を鍛えると思われがちです。ですが順番がとても大事で、外側の大きな筋肉より前に内側のインナーマッスルを鍛えて頂きたいんですね。特に腸腰筋(ちょうようきん)は、股関節をギュッと安定化させる作用があることが最近の研究でわかっていまして、日本人に多い寛骨臼形成不全、骨の被りが浅くて不安定な方は骨としては不利なわけなんで、代わりに腸腰筋の力で安定化させることがすごく大事です。
(つボイ)
それを鍛える。
(中北)
そうですね。その筋肉をターゲットにした筋力トレーニングをして頂きたいですね。
(小高)
そうしますと、食事療法で体重を落として、運動療法で骨盤の動きや筋肉を改善することによって、手術しなくても日常生活は特に問題ないってところまで持っていける患者さんもいるってことなんですか?
(中北)
はい、たくさんいらっしゃると思います。初期の変形性股関節症の方であれば、体重が減って、骨盤の動きがよくなって、バランスの良い筋力の訓練ができれば、それだけで多少変形があったとしても日常生活に困ることはなく、そのまま様子を見ることは大いにあり得ますね。
(つボイ)
なんか、病気というと薬飲んで治そう!となりますけど、先生、全然薬の話出てきませんね。
(小高)
食事療法と運動療法って結構地道に頑張らないといけないやつですよね。
(つボイ)
変形性股関節症錠剤みたいなね!
(小高)
私たち地道な努力苦手だから、薬でパッと治るのないかしらってね。(笑)
(中北)
お気持ちはすごくわかるんですけれども(笑)根本的な構造的に解決をする「薬」というものはないんですね。痛み止め、消炎鎮痛剤では痛みを和らげることしかできないので、それは結局薬の効果が切れれば元通りですし。
(つボイ)
そうか、根本的なところをやるってのがね。体重落として、腸腰筋を鍛えて、骨盤の動きをよくしてと、そういうことなんですね。
~~~~~~~~
(つボイ)
ということで、まずは食事療法で減量!
(小高)
股関節への負荷を減らすことは重要です。そしてやっぱり「運動」なんですね。
(つボイ)
ただし、運動療法については、やみくもにやるのではなく、専門家のアドバイスが必要なようです。
(小高)
それでも症状の改善が見られなかったら、いよいよ手術でしょうか?来週も中北先生にうかがいます。
(小高)
さて「健康のつボ」では、いろいろな病気について専門家の先生に解説していただいております。みなさんもテーマとして取り上げてほしい病気や症状などがありましたら、このコーナーまでお寄せください。専門の先生に教えていただきます。
(小高)
『健康のつボ~股関節の痛みについて~』でした。
水曜日のこの時間は「健康のつボ」。40代・50代から痛みを訴える人が増えはじめ、その痛みをかばうことで、腰や膝に影響が広がることが多いという「股関節の痛み」について、一宮西病院 整形外科 股関節センター長中北吉厚(なかきた・よしあつ)先生にお話をうかがっていきます。診察やレントゲンなどの検査の結果、『変形性股関節症』と診断されたら、どんな治療法になるんでしょうか?
(つボイ)
痛みは早く取りたいけど、いきなり「手術」というのもハードルが高い!
(小高)
今日は変形性股関節症の治療法についてうかがいます。中北先生です。
~~~~~~~~
(中北)
まず肥満の人は体重を減らして頂きたい、そして適切に筋力を鍛えていくリハビリテーションということになります。
(つボイ)
先生、まず手術をしてともおっしゃってましたが…
(中北)
そうですね、手術というものは誰しも避けられるものなら避けたいと思っていますので。
(つボイ)
確かに、気持ちはようわかります!じゃあ、これは変形性股関節症だから手術!というわけではないんですね?
(中北)
全く違います。レントゲンですり減っているからと言って、それが即手術につながる訳ではないんですね。
(小高)
体重を減らすということは、食事療法ですか?
(中北)
はい、ダイエットと聞くと、じゃあなんかすごく頑張って運動ですか?っておっしゃる方多いんですけれども、そもそも股関節が痛いわけですから、激しい運動もできませんし。一番大事なのが食事なんですね。食事量を減らして、体重を頑張って標準まで落として頂きたいですね。
(小高)
そして、筋肉を作るというところで運動。
(中北)
はい、そうですね。
(小高)
でも先生がおっしゃった様に、股関節が痛くないタイプの方はいいでしょうけど、痛いタイプの方はなかなか運動って難しいと思うんですが。
(中北)
はい、おっしゃる通りで、激しい動きは余計痛みが増してしまいます。股関節というのは太ももの骨を、骨盤が受け皿として受けていますので、 その受け皿の骨盤が太ももの動きに連動して動いてくれることがとても大切なんですね。これは肩でいう肩甲骨の動きと共通しているんですが、その動きが、年齢とともに体が固くなることの一環として、骨盤の動きが悪くなっている方がいらっしゃるので、まずはリハビリの先生と一緒にしっかり動きを出して、太ももの動きとちゃんと連動できる骨盤の動きを出すというのがまずとても大切だと思います。例えばバレエダンサーが足を高く上げたりしますよね。あれは股関節の可動域だけで出しているのではなく、骨盤もかなり動いて足を高く上げている。見た目がすごく上に上がっているのは、股関節の動きプラス骨盤が傾いて上がっているんですね。これは極端な例ですけれども、それくらい日常の生活においても骨盤の協調運動、骨盤が一緒に動いてくれるということが大切なんですね。
(小高)
はい。
(中北)
そして二つ目が筋力の部分になるんですが、一般的なイメージで股関節の筋トレというと、お尻の中殿筋(ちゅうでんきん)という比較的大きな筋肉があるんですけれども、中殿筋トレーニングなんて言われるんですが、わかりやすく大きな筋力を鍛えると思われがちです。ですが順番がとても大事で、外側の大きな筋肉より前に内側のインナーマッスルを鍛えて頂きたいんですね。特に腸腰筋(ちょうようきん)は、股関節をギュッと安定化させる作用があることが最近の研究でわかっていまして、日本人に多い寛骨臼形成不全、骨の被りが浅くて不安定な方は骨としては不利なわけなんで、代わりに腸腰筋の力で安定化させることがすごく大事です。
(つボイ)
それを鍛える。
(中北)
そうですね。その筋肉をターゲットにした筋力トレーニングをして頂きたいですね。
(小高)
そうしますと、食事療法で体重を落として、運動療法で骨盤の動きや筋肉を改善することによって、手術しなくても日常生活は特に問題ないってところまで持っていける患者さんもいるってことなんですか?
(中北)
はい、たくさんいらっしゃると思います。初期の変形性股関節症の方であれば、体重が減って、骨盤の動きがよくなって、バランスの良い筋力の訓練ができれば、それだけで多少変形があったとしても日常生活に困ることはなく、そのまま様子を見ることは大いにあり得ますね。
(つボイ)
なんか、病気というと薬飲んで治そう!となりますけど、先生、全然薬の話出てきませんね。
(小高)
食事療法と運動療法って結構地道に頑張らないといけないやつですよね。
(つボイ)
変形性股関節症錠剤みたいなね!
(小高)
私たち地道な努力苦手だから、薬でパッと治るのないかしらってね。(笑)
(中北)
お気持ちはすごくわかるんですけれども(笑)根本的な構造的に解決をする「薬」というものはないんですね。痛み止め、消炎鎮痛剤では痛みを和らげることしかできないので、それは結局薬の効果が切れれば元通りですし。
(つボイ)
そうか、根本的なところをやるってのがね。体重落として、腸腰筋を鍛えて、骨盤の動きをよくしてと、そういうことなんですね。
~~~~~~~~
(つボイ)
ということで、まずは食事療法で減量!
(小高)
股関節への負荷を減らすことは重要です。そしてやっぱり「運動」なんですね。
(つボイ)
ただし、運動療法については、やみくもにやるのではなく、専門家のアドバイスが必要なようです。
(小高)
それでも症状の改善が見られなかったら、いよいよ手術でしょうか?来週も中北先生にうかがいます。
(小高)
さて「健康のつボ」では、いろいろな病気について専門家の先生に解説していただいております。みなさんもテーマとして取り上げてほしい病気や症状などがありましたら、このコーナーまでお寄せください。専門の先生に教えていただきます。
(小高)
『健康のつボ~股関節の痛みについて~』でした。