第10回 手術療法④ 人工股関節置換術のナビゲーションシステム
(小高)
水曜日のこの時間は「健康のつボ」。40代・50代から痛みを訴える人が増えはじめ、その痛みをかばうことで、腰や膝に影響が広がることが多いという「股関節の痛み」について、一宮西病院 整形外科 股関節センター長中北吉厚(なかきた・よしあつ)先生にお話をうかがっていきます。
(小高)
ここのところ、人工股関節置換術の手術法を教えてもらってきました。
(つボイ)
インプラントの素材も改良されて来ているし、手術法も患者さんの負担が少ない仰向けで行う方法が増えて来ているとか・・・。
(小高)
さらに最近では、ナビゲーションシステムを使う手術法も増えて来ているそうです。
(つボイ)
ナビゲーションシステム?
(小高)
中北先生です。
~~~~~~~~
(中北)
『人工股関節設置術』という手術は、インプラントを計画した場所に正しく設置するということがとても大切で、それがこの手術の目的ですので、それを達成するために、特に屋根の部分(カップ)を骨盤の正しい位置、正しい角度で設置するために、それをナビしてくれるいろんな種類の機械があります。
(つボイ)
ナビというのはカーナビのように、正しい方向に進んでいますよみたいな?
(中北)
そうですね。ナビゲーションという言葉で一番馴染みがあるのがカーナビだと思うんですけど。この手術の有名な合併症、トラブルのひとつに『脱臼』というものがあります。 脱臼というのは、中のボールが屋根からはずれてしまうトラブルなんですけど、当然手術で術後そういうことは起こしたくないわけなんですね、その屋根を設置する位置や角度がよくないと外れることがあります。例えば、前に向き過ぎていれば前に外れやすくなりますし、後ろに向いていれば後ろに外れやすくなります。やはり正しい位置、正しい角度に設置することがとても大切なことですね。
(小高)
先生もそういったナビゲーションを使って手術をなさるんですか?
(中北)
わたしは、正直申し上げてそれは必要としていないです。
(小高)
あら、どうしてですか?
(中北)
整形外科医の中でも、それぞれ立場や考え方が違ってきますので、一概に言い切ることはできないんですけれども。もう少し具体的に申し上げますと、この手術は、体の向きを横向きで行うやり方と、仰向けでやるやり方があるんですけれども、横向きでやる場合というのは、固定していても手術中にずれてきてしまうということがありまして、手術を行っている側の人間からすると、患者さんには布がかかっているので、その手術中のずれがなかなか把握しづらいんですね。その間に骨盤の初期固定からずれているのを認識できずにインプラントを設置してしまうと、本来の設置とは違うことになってしまう。そういうことを補ってくれる役割というのは非常に大きいと思います。
(小高)
じゃあ仰向けで手術する場合はそんなに必要ない?
(中北)
そうですね、そもそも仰向けですから、横向きと違って骨盤の傾きはないですし、仰向けで起こる術中の骨盤の動きは術中に把握することができるんですね。ですから、あぁ今こういう風に動いたから、じゃあこっち向きにすれば計画通りになるよねっていうのが、術中に迅速に自分の感覚として理解することができます。そういった意味で、わたしは(ナビが)なくても安全に正しい位置にインプラントを設置できていると思います。
(小高)
やっぱりシステムによるナビゲーションですから、正確だという大きなメリットがあるんですけど、デメリットもあるんですか?
(中北)
そうですね、デメリットは、例えば骨盤にピンを刺す必要があるものは、患者さんの体に余計な傷をつけているわけですから。本来手術で触らなくていい場所にピンを刺すというのは、非常によくないことだと思いますし、そういうタイプではないものも、手術の時間や準備の時間がかかる、コストがかかる、そして時間が長くなれば感染症や血栓症など、手術の過程での様々なトラブルの発生率が少しずつ上がっていきます。
(小高)
その辺のメリット、デメリットを吟味したうえで、お医者さんがどうするかっていうのを判断するということですね。
(中北)
そうですね。ですからこの辺りは病院や医師によって考え方に幅がありますので、患者さんの立場からすれば様々なところで話を聞いて、納得できる治療法を受けられるといいかなと思います。
~~~~~~~~
(つボイ)
はい、お話を聞いていますと、技術というのは日々進歩しているなぁと思いますねぇ。
(小高)
そうですね、それでもやっぱり重要なのは、先生との信頼関係です。しっかり自分に合った治療法を先生と確認したいですね。
(小高)
さて「健康のつボ」では、いろいろな病気について専門家の先生に解説していただいております。みなさんもテーマとして取り上げてほしい病気や症状などがありましたら、このコーナーまでお寄せください。専門の先生に教えていただきます。
(つボイ)
はい、質問お待ちいたしております!
(小高)
『健康のつボ~股関節の痛みについて~』でした。
水曜日のこの時間は「健康のつボ」。40代・50代から痛みを訴える人が増えはじめ、その痛みをかばうことで、腰や膝に影響が広がることが多いという「股関節の痛み」について、一宮西病院 整形外科 股関節センター長中北吉厚(なかきた・よしあつ)先生にお話をうかがっていきます。
(小高)
ここのところ、人工股関節置換術の手術法を教えてもらってきました。
(つボイ)
インプラントの素材も改良されて来ているし、手術法も患者さんの負担が少ない仰向けで行う方法が増えて来ているとか・・・。
(小高)
さらに最近では、ナビゲーションシステムを使う手術法も増えて来ているそうです。
(つボイ)
ナビゲーションシステム?
(小高)
中北先生です。
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(中北)
『人工股関節設置術』という手術は、インプラントを計画した場所に正しく設置するということがとても大切で、それがこの手術の目的ですので、それを達成するために、特に屋根の部分(カップ)を骨盤の正しい位置、正しい角度で設置するために、それをナビしてくれるいろんな種類の機械があります。
(つボイ)
ナビというのはカーナビのように、正しい方向に進んでいますよみたいな?
(中北)
そうですね。ナビゲーションという言葉で一番馴染みがあるのがカーナビだと思うんですけど。この手術の有名な合併症、トラブルのひとつに『脱臼』というものがあります。 脱臼というのは、中のボールが屋根からはずれてしまうトラブルなんですけど、当然手術で術後そういうことは起こしたくないわけなんですね、その屋根を設置する位置や角度がよくないと外れることがあります。例えば、前に向き過ぎていれば前に外れやすくなりますし、後ろに向いていれば後ろに外れやすくなります。やはり正しい位置、正しい角度に設置することがとても大切なことですね。
(小高)
先生もそういったナビゲーションを使って手術をなさるんですか?
(中北)
わたしは、正直申し上げてそれは必要としていないです。
(小高)
あら、どうしてですか?
(中北)
整形外科医の中でも、それぞれ立場や考え方が違ってきますので、一概に言い切ることはできないんですけれども。もう少し具体的に申し上げますと、この手術は、体の向きを横向きで行うやり方と、仰向けでやるやり方があるんですけれども、横向きでやる場合というのは、固定していても手術中にずれてきてしまうということがありまして、手術を行っている側の人間からすると、患者さんには布がかかっているので、その手術中のずれがなかなか把握しづらいんですね。その間に骨盤の初期固定からずれているのを認識できずにインプラントを設置してしまうと、本来の設置とは違うことになってしまう。そういうことを補ってくれる役割というのは非常に大きいと思います。
(小高)
じゃあ仰向けで手術する場合はそんなに必要ない?
(中北)
そうですね、そもそも仰向けですから、横向きと違って骨盤の傾きはないですし、仰向けで起こる術中の骨盤の動きは術中に把握することができるんですね。ですから、あぁ今こういう風に動いたから、じゃあこっち向きにすれば計画通りになるよねっていうのが、術中に迅速に自分の感覚として理解することができます。そういった意味で、わたしは(ナビが)なくても安全に正しい位置にインプラントを設置できていると思います。
(小高)
やっぱりシステムによるナビゲーションですから、正確だという大きなメリットがあるんですけど、デメリットもあるんですか?
(中北)
そうですね、デメリットは、例えば骨盤にピンを刺す必要があるものは、患者さんの体に余計な傷をつけているわけですから。本来手術で触らなくていい場所にピンを刺すというのは、非常によくないことだと思いますし、そういうタイプではないものも、手術の時間や準備の時間がかかる、コストがかかる、そして時間が長くなれば感染症や血栓症など、手術の過程での様々なトラブルの発生率が少しずつ上がっていきます。
(小高)
その辺のメリット、デメリットを吟味したうえで、お医者さんがどうするかっていうのを判断するということですね。
(中北)
そうですね。ですからこの辺りは病院や医師によって考え方に幅がありますので、患者さんの立場からすれば様々なところで話を聞いて、納得できる治療法を受けられるといいかなと思います。
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(つボイ)
はい、お話を聞いていますと、技術というのは日々進歩しているなぁと思いますねぇ。
(小高)
そうですね、それでもやっぱり重要なのは、先生との信頼関係です。しっかり自分に合った治療法を先生と確認したいですね。
(小高)
さて「健康のつボ」では、いろいろな病気について専門家の先生に解説していただいております。みなさんもテーマとして取り上げてほしい病気や症状などがありましたら、このコーナーまでお寄せください。専門の先生に教えていただきます。
(つボイ)
はい、質問お待ちいたしております!
(小高)
『健康のつボ~股関節の痛みについて~』でした。