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第7回 形成外科のお仕事②~乳房の再建法 part1


(小高)
毎週この時間は「健康のつボ~形成外科について」。形成外科ではどんな疾患を診てもらえるのか?一宮西病院 形成外科部長の野田慧(のだ けい)先生に教えていただいています。

(小高)
先週までは形成外科が扱う代表的な疾患、眼瞼下垂についてうかがってきました。今週はもう一つの代表例として、乳房再建について教えていただきます。

(つボイ)
女性にとっては、がんによる乳房切除後のケアというのは、切実な問題ですもんね。

(小高)
術後の生活様式に大いにかかわってきます。野田先生です。

~~~~~~~~

(野田)
乳房再建というのは、乳がんの切除で失われた乳房を、できる限り戻してあげるという手術、それを乳房再建といいます。乳房再建は、近年いろいろと進歩してきてまして、かなり美しい本当に近い乳房というのを再建できるようになってきています。その結果として、やっぱり乳房がなくなってしまったという喪失感だったり、どうしても毎日パットを入れて調整しなきゃいけないというような日常生活の不都合が解消されます。あとは、やっぱり(乳房が)ないということ自体、精神的に苦痛に感じる方もいるので、そういったところから解放されて、クオリティオブライフの向上が期待できる手術になります。

(小高)
乳房再建というのは、手順的にはどのようにやっていくものなんですか?

(野田)
そうですね。乳房再建というのは、再建のタイミングでまず分ける分け方があります。「一次再建」というのが乳がんの切除と同時に再建の手術を始めるものになります。「二次再建」というのが、乳がんの手術が終わって、治療もある程度一段落したところで、再建の手術を行うというものになります。

(小高)
はい。

(野田)
それぞれいいところ、悪いところがあるんですけれども、「一次再建」の同時に行うメリットとしては、やっぱり1回分手術が少なくて済むので、手術回数、費用の軽減ですね。同時に自己組織などでおっぱいを一気に作ってしまった場合は、乳房の喪失という状態がない状態になります。

(つボイ)
これはいいですね。

(小高)
なくなったっていう実感をしなくていいですからね。

(野田)
そうですね。起きたら新しく作られたおっぱいになっている、ということになります。ただ、デメリットとしては、そのがんの告知から、がんの治療のことも考えなくてはいけないですし、さらに再建のことも考えなくてはいけないということで、時間的な制約というのがどうしても出てきてしまいます。あとは、やっぱり切除する前と直接比較ができてしまうので、満足度というところで、求められるクオリティーがちょっと高くなると思います。

(小高)
そうか、連続しちゃうから、違うじゃんこれってなっちゃう。

(野田)
そうですね。違和感をちょっと感じやすいところはあるのかなとは思います。

(小高)
はい。一方で二次再建の方のメリットとデメリットは?

(野田)
そうですね。「二次再建」のメリットは、乳房の治療が一段落してから行うので、体験の内容、方法、選ぶものをゆっくり考えることができるというところですね。あとは、なくなったところから作るというところで、0と100なので、満足度は高くなることが多いと思います。

(小高)(つボイ)
はい。

(野田)
一方で、二次再建のデメリットは、一次再建のメリットでもあるんですけれども、手術回数が1回分増えてしまうので、どうしてもお金とか時間がかかってきてしまうところですね。

(小高)
はい。これは患者さんの選択って分かれるんですか?

(野田)
そうですね。基本的には患者さんのライフプランに合わせて選んでいただくことが多いです。

(小高)
再建の方法もいろいろあったりするんですか?

(野田)
そうですね、最近の様式は、一つは人工物、インプラントによる再建。もう一つが自家組織、自分の組織をどこかから持ってくるというもの。再建も大きく分けるとこの2種類になります。

(つボイ)
これもさっきのメリットデメリットがあるんですか?

(野田)
もちろん、それぞれであります。人工物のお話をまずさせていただきますと、人工物というのは、(手術によって)皮膚が取られることが多いので、まずその足りなくなった皮膚を補填するために、組織拡張器(エキスパンダー)という風船みたいなものを入れます。それを外来でお水ちょっとずつ入れながら膨らませて、足りない皮膚をぐっと伸ばしてあげます。

(小高)
皮膚を伸ばす。

(野田)
そうです。拡張させて、そして2回目の手術でシリコンのインプラントに入れ替える、そういうような流れでやっていきます。

(小高)
この中に入れるものっていうのは、決まっているんですか?

(野田)
そうですね。今ちょっと保険適応の幅が広がったので、何社かのいろんな種類のインプラントから選んでいただくことができるようになっています。人工物での再建のメリットとしては、傷が胸以外に付かないということですね。デメリットとしては、やっぱり人工物を体に入れるということ自体が少しデメリットです。感染に弱かったりというのもありますし、それ自体に抵抗がある方には向かないです。あとは、術後に放射線治療が必要な方、あるいは放射線治療を行った後という方は、ちょっと露出の危険があるので、基本的には選びづらいです。



~~~~~~~~



(小高)
乳房再建には手術をする時期で、まず一次再建と二次再建というのがあって、再建方法としては、人工物による乳房再建と自家組織による再建の2種類があるということです。

(つボイ)
ライフプランに合わせてタイミングとか方法を選んでいくというわけですね。

(小高)
いずれの方法を選んでも、再建方法の進歩によって、乳房再建によるクオリティオブライフの向上が期待されます。来週は乳房再建パート2!ということでね、さっき出た自家組織による再建について、野田先生にお聞きします。

(小高)
さて「健康のつボ」では、いろいろな病気について専門家の先生に解説していただいております。みなさんもテーマとして取り上げてほしい病気や症状などがありましたら、このコーナーまでお寄せください。専門の先生に教えていただきます。

(つボイ)
はい、質問お待ちいたしております!

(小高)
『健康のつボ~形成外科について』でした。


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