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第16回 術後の定期検査は何のためにするのか?


(小高)
水曜日のこのコーナーは『健康のつボ~ひざ関節痛について~』。多くの日本人が悩んでいるひざ関節の痛みについて、一宮西病院・整形外科部長兼、人工関節センター長の巽一郎(たつみいちろう)先生にお話を伺います。今日は「全置換術」や「半置換術」で、金属製の人工関節を入れる手術をして、退院した後の診察にについて教えていただきます。

(つボイ)
最初のうちは1年に一回、3年ぐらい経ったら2年に一回、検査を受けると言っていましたね。

(小高)
その検査、何のためにするんでしょう?巽先生です!

~~~~~~~
(巽)
金属は大体300年ぐらいもつから、金属は大丈夫。

(つボイ)
300年生きる人そういないもんね。

(巽)
そういない。

(つボイ)
いや誰もいない気もする。

(小高)


(巽)
金属と金属の間の人工の軟骨、これが削れていくんですよ。

(つボイ)
それはどれくらいもつんですか?

(巽)
最近のは大分良くて、半置換で使用しているものはフィッティングがとても良いので、イギリスの記録では30年もっているものもあるんですけど、表面の加工が悪い全置換のやつは7、8年でポリエチレンの粕が出てくる。その粕を白血球が食べて溶かそうとするんだけど、溶けない。代わりに金属と骨の間、その骨が溶けてしまうんです。

(小高)
自分の骨ですか?

(巽)
そうです。「オステオライシス」といいます。溶けてしまうとひざがガクガクしてきます。人工関節を入れて7年経ちますが、ひざがカコカコいいますという患者さんがいます。

(小高)
そうか、骨が溶けると緩みが出てくるからカコカコいうんですね。

(巽)
そうです。で、痛みが出てくる。そうなると再置換で入れ直ししないといけない。

(つボイ)
その入れ直しの目安は、ポリエチレンが減ってく時が再手術のときと。

(巽)
これは機種によって全然違う。どこの機械を使うか、あとは使い方ですね。体重入れたときは70キロだったけど、糖尿病で110キロになってきたとなると、ポリエチレンにもかなり負担がかかって、骨が早く減ってしまう。長く残そうとすると、いいものを入れるということと、あとは使い方です。大腿四頭筋、支えるための筋肉をしっかりさせとく。そのあたりが長持ちさせるために大事です。

(小高)
人工関節と自分の骨の状態、それから軟骨にあたる部分のすり減り具合、あとは私たちの生活習慣のチェックというか定期健診でみていくことですね。

(巽)
そうですね。それで年に1回は来てねとお伝えしています。なんで手術したのにそんなに病院へ行かないといけないの?と思うかもしれませんが、そういう確認だったりがあります。

(つボイ)
知識もそうだし、骨の減り具合とかもね。

(巽)
そうです。

(小高)
でもやっぱり、痛くないと来ないなんて患者さんも多いのではないですか?

(巽)
ポリエチレンが無くなる前に入れるのが簡単なので、それをしょっちゅうお伝えしています。それで僕の患者さんはそれを覚えているので、一年に一回は先生の顔見に来るよって来てくれるんです。

(小高)
で、定期健診でしっかりチェックすると、メンテナンスの手術も本当に軽く済むんですか?

(巽)
そうなんです。クッションだけ入れ替えるんだったら、減る前に入れておけば、金属が緩んでいなかったらとても簡単なんです。

(小高)
でも骨が溶けだして緩みだしたら、またガッツリ手術しないといけないと。

(巽)
とんでもない手術になるんですよ。

~~~~~~~
(つボイ)
手術後、定期的に検査しなければいけない理由がよくわかりました。

(小高)
人工のクッション、軟骨の代わりをしているポリエチレンの減り具合をチェックすることが重要なんですね。軟骨を入れ替えるだけなら簡単なんだけど、骨が溶けて、人工関節全体を代えることになると大手術になってします。

(つボイ)
人工関節といえども、体重を増やして負担をかけるのは禁物だし、人工関節に使われているポリエチレンのチェックも欠かさないことで、安心して日常生活が送れることになるんですね。

(小高)
人工関節も自分の体の一部です。いたわってあげることが大切です。『健康のつボ~ひざ関節痛について~』でした。


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