第4回 保存療法のエピソード
(小高)
水曜日のこのコーナーは『健康のつボ~ひざ関節痛について~』。多くの日本人が悩んでいるひざ関節の痛みについて、一宮西病院・整形外科部長兼、人工関節センター長の巽一郎(たつみいちろう)先生にお話を伺います。
先生のところに来る患者さんは「手術してください~!」っていらっしゃるそうなんですけど、先生は「手術の前にまず3ヶ月ほど、原因を取り除く『保存療法』をやって頑張ろう」という風に患者さんにおっしゃるそうなんです。
(つボイ)
先生がそう考えるようになったきっかけの患者さんがいたということですね。
(小高)
はい、これは鎌倉の病院に勤めていた頃のエピソードをなんだそうです。教科書に載ってない発見!出会いだったそうなんですよ。
~~~~~~~
(巽)
僕が手術をしなくても大丈夫じゃないかな?と思った最初の人が、 岐阜から鎌倉まで新幹線で来はったんですよね。なぜ鎌倉まで来たかと聞いたら「手術した後、退院するが早いから」って。
(小高)(つボイ)
ほ~。
(巽)
他所の病院だと大体3週間ぐらい、長いと 1ヶ月ぐらい入院しているんですけど、鎌倉では半置換手術だと1週間で退院。全置換手術だと2週間という風で、早いから鎌倉まで手術しにみえたんです。
そのじいさんは78歳。右膝は正常、左だけ膝がすごいO脚。よく調べてみたら、昔に太ももの骨折していたんです。20歳の時にバイクでひっくり返って大腿骨(太ももの骨)を折って、そこで角度が7度変わってしまって、ひざで13度ぐらい変わっていたので、20度近くのすごいO脚だったんです。
(つボイ)
それ、骨折したときにいい加減に治した…とか?
(巽)
太ももは身体の中で一番ごつい筋肉の大腿四頭筋がついているので、普通、骨折したらギブスで治さないんですよ。ギブス巻いたって中でずれてしまうからね。でもそのじいさんはギブスで治したんですって。
(つボイ)
う~ん。
(巽)
まあきちんとくっついてはいるので全然痛くないみたいなんですけど、それが原因で、角度が変わって膝が痛くなってしまってるんです。
(小高)
積もり積もって何十年か後にひざに痛みがきちゃったと。
(巽)
そうです。で、可愛いおばあちゃんと一緒に来ていてね、
「彼女を後ろに乗せてバイクで走ってたときに骨折した」って言うから、
「このおばあちゃん乗せてたの?」って聞いたら「ちゃうちゃう。」って。
(つボイ)
ははは(笑)
(小高)
先生、それいらん情報(笑)
(つボイ)
蒸し返さんでいいね(笑)
(巽)
ふふ。でね、この痛みは骨折が原因だから骨折を治させてっておじいちゃんに言ったんです。でもおじいちゃんは「こっちは痛くないからひざを手術してくれ」と。
それで、骨折を治したときにかかる時間や治療内容を伝えたんです。骨折した部分を一度折って、真っ直ぐにする。1日1ミリずつ角度を変えていこうって。
(小高)
ほ~。
(巽)
すぐには骨がつかないから、2週間待つんです。そうすると骨がひっついてくるので、その時に1日1ミリ内側を伸ばして7日で7ミリ内側が伸びます。そしたら大腿骨が骨折する前の形に戻るよと、そういう説明をして骨折を治すことを提案したんです。
~~~~~~~
(小高)
つまり先生曰く、ひざだけで治そうと思うとなかなか難しいので、原因の曲がっている大腿骨から治そうっていう提案だったんですが、でもこれは時間がかかる!
(つボイ)
1週間で済むからとわざわざ岐阜から来たのに、何か月もかかる治療法を提案されちゃったと。どうやら、先生もお気に入りのかわいいおばあちゃんが説得して、おじいさんも治療を受け入れたようですよ。
(小高)
そしたら、大腿骨を治していよいよひざの治療に取り掛かろうと思ったら、なんと!ひざが痛くなくなっていた!そこでしばらく様子を見ることになったそうですが・・・。
~~~~~~~
(巽)
そのじいさんは、とりあえず2か月で足が真っ直ぐになって骨もついたんです。「岐阜から来て長くかかってしまって悪いけど、ひざも治しましょうか」って言ったら、「ひざもう痛くない」って言うんですよ。
(つボイ)
へえ~。
(巽)
軟骨は内側も外側も全然ないんですけど、歩けているから「半年後に痛かったらひさの手術しましょう」ということで一旦岐阜に帰られたんです。
そしたら半年後にいらして「先生、杖なしで歩けるで」っておっしゃるんです。痛くない人を手術したくはないから、じゃあもう1年後にもう一回診ましょうって伝えました。その時は1年後にはひざが痛くなっているだろうと思ってました。
(つボイ)
ふむ。
(巽)
その人は山で木を切ったりしてるんですけど、1年半後におばあちゃんが「この人もう山走れますよ」って教えてくれました。
それから2年半後まで診ましたが、杖なしでたったと歩かれていた。軟骨なしなんですけどね。それで、人間の治る力っていうのはゴツイな~って思ったわけです。
~~~~~~~
(小高)
人間の回復力って凄いですよね。
(つボイ)
「原因から治さなければならない」というまさに典型的なエピソードですよね。
(小高)
はい、来週からはいよいよ手術の前にやるべき、具体的な保存療法についてお聞きしていきます。新生活フロッピー『健康のつボ~ひざ関節痛について~』でした。
水曜日のこのコーナーは『健康のつボ~ひざ関節痛について~』。多くの日本人が悩んでいるひざ関節の痛みについて、一宮西病院・整形外科部長兼、人工関節センター長の巽一郎(たつみいちろう)先生にお話を伺います。
先生のところに来る患者さんは「手術してください~!」っていらっしゃるそうなんですけど、先生は「手術の前にまず3ヶ月ほど、原因を取り除く『保存療法』をやって頑張ろう」という風に患者さんにおっしゃるそうなんです。
(つボイ)
先生がそう考えるようになったきっかけの患者さんがいたということですね。
(小高)
はい、これは鎌倉の病院に勤めていた頃のエピソードをなんだそうです。教科書に載ってない発見!出会いだったそうなんですよ。
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(巽)
僕が手術をしなくても大丈夫じゃないかな?と思った最初の人が、 岐阜から鎌倉まで新幹線で来はったんですよね。なぜ鎌倉まで来たかと聞いたら「手術した後、退院するが早いから」って。
(小高)(つボイ)
ほ~。
(巽)
他所の病院だと大体3週間ぐらい、長いと 1ヶ月ぐらい入院しているんですけど、鎌倉では半置換手術だと1週間で退院。全置換手術だと2週間という風で、早いから鎌倉まで手術しにみえたんです。
そのじいさんは78歳。右膝は正常、左だけ膝がすごいO脚。よく調べてみたら、昔に太ももの骨折していたんです。20歳の時にバイクでひっくり返って大腿骨(太ももの骨)を折って、そこで角度が7度変わってしまって、ひざで13度ぐらい変わっていたので、20度近くのすごいO脚だったんです。
(つボイ)
それ、骨折したときにいい加減に治した…とか?
(巽)
太ももは身体の中で一番ごつい筋肉の大腿四頭筋がついているので、普通、骨折したらギブスで治さないんですよ。ギブス巻いたって中でずれてしまうからね。でもそのじいさんはギブスで治したんですって。
(つボイ)
う~ん。
(巽)
まあきちんとくっついてはいるので全然痛くないみたいなんですけど、それが原因で、角度が変わって膝が痛くなってしまってるんです。
(小高)
積もり積もって何十年か後にひざに痛みがきちゃったと。
(巽)
そうです。で、可愛いおばあちゃんと一緒に来ていてね、
「彼女を後ろに乗せてバイクで走ってたときに骨折した」って言うから、
「このおばあちゃん乗せてたの?」って聞いたら「ちゃうちゃう。」って。
(つボイ)
ははは(笑)
(小高)
先生、それいらん情報(笑)
(つボイ)
蒸し返さんでいいね(笑)
(巽)
ふふ。でね、この痛みは骨折が原因だから骨折を治させてっておじいちゃんに言ったんです。でもおじいちゃんは「こっちは痛くないからひざを手術してくれ」と。
それで、骨折を治したときにかかる時間や治療内容を伝えたんです。骨折した部分を一度折って、真っ直ぐにする。1日1ミリずつ角度を変えていこうって。
(小高)
ほ~。
(巽)
すぐには骨がつかないから、2週間待つんです。そうすると骨がひっついてくるので、その時に1日1ミリ内側を伸ばして7日で7ミリ内側が伸びます。そしたら大腿骨が骨折する前の形に戻るよと、そういう説明をして骨折を治すことを提案したんです。
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(小高)
つまり先生曰く、ひざだけで治そうと思うとなかなか難しいので、原因の曲がっている大腿骨から治そうっていう提案だったんですが、でもこれは時間がかかる!
(つボイ)
1週間で済むからとわざわざ岐阜から来たのに、何か月もかかる治療法を提案されちゃったと。どうやら、先生もお気に入りのかわいいおばあちゃんが説得して、おじいさんも治療を受け入れたようですよ。
(小高)
そしたら、大腿骨を治していよいよひざの治療に取り掛かろうと思ったら、なんと!ひざが痛くなくなっていた!そこでしばらく様子を見ることになったそうですが・・・。
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(巽)
そのじいさんは、とりあえず2か月で足が真っ直ぐになって骨もついたんです。「岐阜から来て長くかかってしまって悪いけど、ひざも治しましょうか」って言ったら、「ひざもう痛くない」って言うんですよ。
(つボイ)
へえ~。
(巽)
軟骨は内側も外側も全然ないんですけど、歩けているから「半年後に痛かったらひさの手術しましょう」ということで一旦岐阜に帰られたんです。
そしたら半年後にいらして「先生、杖なしで歩けるで」っておっしゃるんです。痛くない人を手術したくはないから、じゃあもう1年後にもう一回診ましょうって伝えました。その時は1年後にはひざが痛くなっているだろうと思ってました。
(つボイ)
ふむ。
(巽)
その人は山で木を切ったりしてるんですけど、1年半後におばあちゃんが「この人もう山走れますよ」って教えてくれました。
それから2年半後まで診ましたが、杖なしでたったと歩かれていた。軟骨なしなんですけどね。それで、人間の治る力っていうのはゴツイな~って思ったわけです。
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(小高)
人間の回復力って凄いですよね。
(つボイ)
「原因から治さなければならない」というまさに典型的なエピソードですよね。
(小高)
はい、来週からはいよいよ手術の前にやるべき、具体的な保存療法についてお聞きしていきます。新生活フロッピー『健康のつボ~ひざ関節痛について~』でした。