グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ


第8回 乳房の再建法②


小高 毎週この時間は「健康のつボ!~形成外科について」。形成外科ではどんな疾患を診てもらえるのか? 一宮西病院 形成外科部長の野田 慧先生に教えていただいています。
乳房再建についてお聞きしています。乳がんの手術と同時におこなう一次再建と、基本的な治療後にあらためておこなう二次再建の2種類があるということです。

つボイ そして、再建方法には人工物(インプラント)による乳房再建と自家組織による再建の2種類あるということらしいですね。

小高 今日は、その中の「自家組織による再建」についてうかがいます。野田先生です。

野田 自家組織による乳房再建というのは、患者さんの別の部分から体の皮下組織、皮膚、あと筋肉を持っていくこともあるんですが、そういったものを血行を保ったまま、血流がいい状態で持っていくような形、これを皮弁と言うんですけど、これで胸を作っていくものが自己組織による再建です。その持っていく部分に、血や栄養を与える血管自体を切り離さないで持っていく有茎皮弁という方法と、1回切り離して胸側の血管とつなぎ直す遊離皮弁という2種類の方法があります。

小高 血管を切らないで持ってくることもできるんですか?

野田 できます。

つボイ 近くの方でしょうね、それは。

野田 そうですね。基本的にはお腹か背中で持ってくるんですけど、お腹も背中も切り離さずに持っていく方法があります。

小高 何かちょっと想像が難しい(笑)。

つボイ 血管ってそんな長くなるんですか?

野田 そうですね。血管自体だけをつなげたものを持ってくるというよりは、イメージとしてはその血管が通ってる筋肉ごと一緒に持ってくるので、引っ張られても血管が直接グイグイ引っ張られたりはしないので、安全に持っていけます。

小高 やっぱりこの手術のメリットっていうと、全て自分の組織っていうところですか?

野田 そうですね。血の通った組織を持っていくというところで、インプラントに比べて柔らかいあったかい乳房というものが作れます。あとは体の角度を変えた時とかにおっぱいが付いてくるような、自然なおっぱいの移動というものもありますし、メンテナンスもほとんど必要ないので、人工物に比べると術後長く外来に通っていただく必要もないですね。

つボイ なるほど~。

野田 ただ、どこかから持ってくるということで、持ってきた側に大きな傷が残ってしまいます。お腹や背中にも、20センチから30センチくらいの大きな傷ができてしまうというところが1つ大きなデメリットになります。また、どうしても手術時間が長くなりますので、1日がかりの手術になってしまうことが多いです。

つボイ そんな長いことかかるんですね。

野田 そうですね。乳腺外科の先生がやって、形成外科が入ってとなると1日がかりになってしまうことが多いです。

小高 どこから取ってくるかということについては、さっき先生がおっしゃってたお腹、背中。

野田 そうですね。大体、一般的にはお腹か背中で選んでいただくことが多いです。

つボイ 患者が選べるということですか?

野田 選べないこともあるんです。というのは、胸の大きさである程度決まってしまうものがあります。自分の背中を触ってもらうと、お腹に比べてお肉が少ないと思うんですけど、胸がそんなに大きくない方は背中を使えるんですけど、ボリュームが出しにくいので、胸がボリューミーな方はどうしてもお腹を選ばざるを得ないというところはあります。

小高 せっかくだからお腹からたくさん…っていうのはダメなのかな(笑)。

野田 お腹が痩せるのは嬉しいって方も結構いらっしゃいますけど、縦幅15センチくらいをぐっと縫い縮めるので、術後の負担は大きいです。ただ、ボリュームがしっかり出しやすいのはお腹で、場所的にも胸に近いので、柔らかさ的にお腹のお肉で作った胸がかなり柔らかく綺麗に仕上がりますね。

つボイ 切り取った後は、結構長い間痛いとかそういうことはないんですか?

野田 そうですね。傷のトラブルがなければ、大体2ヶ月ぐらいでほとんどシャキっと動けるようになるんですけど、逆に言うと2ヶ月近くはどうしてもちょっと突っ張った感じが残ってしまうことが多いです。

小高 ほぉ~。

野田 その点、背中はボリュームが出しにくいんですけれども、お腹ほどは日常生活に支障が出にくいので、どうしても長く体を休めていられないという方は、ボリュームが少なめにはなるけど背中を選ぶこともあります。

つボイ 自家組織による再建というのは、本来の胸に近い柔らかさとか、体の角度を変えた時の自然な動きもありますけども、持ってきた場所には大きな傷跡は残るわけですね。

小高 自家組織による再建も、人工物による再建も、それぞれにメリットとデメリットがあるので、それぞれの環境で選択していくことになります。限られた時間の中で結論を出すっていうのはちょっと難しいですが、よく検討して納得のいく結論を導きたいですよね。来週も野田先生にお聞きします。
さて、「健康のつボ!」では、いろいろな病気について専門家の先生に解説していただいております。みなさんもテーマとして取り上げてほしい病気や症状などがありましたら、このコーナーまでお寄せください。専門の先生に教えていただきます。

つボイ はい、質問お待ちいたしております!

小高 「健康のつボ!~形成外科について~」でした。

  1. ホーム
  2.  >  病院紹介
  3.  >  健康のつボ!
  4.  >  形成外科について
  5.  >  第8回 乳房の再建法②