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第12回 先天性異常について


小高 毎週この時間は「健康のつボ!~形成外科について」。形成外科ではどんな疾患を診てもらえるのか? 一宮西病院 形成外科部長の野田 慧先生に教えていただいています。
形成外科が扱う幅広い疾患についてうかがっています。

つボイ はい。今日はどういう疾患なんでしょうか。

小高 野田先生です。

野田 今までは、外傷とか、後から起こる加齢とか病気で起こるものを取り上げてきたんですけれども、今日は生まれながらにして異常がある、先天性異常というものについてお話をさせていただきます。

つボイ小高 はい。

野田 頭からつま先までいろいろあるんですが、代表的なものをいくつかご紹介できたらと思います。

小高 はい。

野田 最初の頃に小耳症(しょうじしょう)といって、生まれつき耳がなかったり、小さかったりする病気があって、それの耳の形を作っていくのを見て、形成外科医になりたいと思いました。という話をちょっとお話ししたかなと思うんですけど、この小耳症というのが先天異常のうちの1つですね。今言ったように、生まれつき耳が小さかったりなかったりするので、整容的にまず耳がないという状態で困ってしまう。あとは機能的にも、耳は何のためにあるのかというと、マスクとかメガネとかをかけるのにも使うので、機能的に困ってしまいますよね。

つボイ ああ、そうか!

野田 小耳症の方は耳が聞こえにくかったり、ほとんど聴力がない方もいるんですけども、そちらについては治せないことも多いです。ですが、少なくとも機能的、見た目的な所を整えていくために、耳を作ってあげようという治療を形成外科の方でしていきます。

小高 はい。どうやってこの耳を作っていくんですか?

野田 一般的には、肋軟骨(ろくなんこつ)といって、肋骨のうちの軟骨成分の所を取ってきて、それを彫刻刀で加工して、耳のフレームを作っていって、耳になり得る所の皮下に埋めてくるというような形ですね。

小高 今のお話だと、手術はだいぶ小さい子が対象になってくるわけですか?

野田 小耳症だと、ある程度肋軟骨の量が必要になってくるので、大体小学校の3年生ぐらいの子が治療開始時期になってきます。

つボイ 大人になってからでは遅いんですか?

野田 大人になるとですね、ちょっと肋軟骨が硬くなってきてしまうので、すごく加工がしづらくなってしまいます。そういうこともあって、まだしなやかなうちで、ある程度の量が取れるということで、小学校の3、4年生ぐらいで治療するというのが一般的になってますね。

つボイ なるほど~。

野田 他にもですね、いろいろと先天異常のものあるんですけれども、患者さんの数が多いものとしては、口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)ですね。

小高 はい。

野田 唇や歯茎が割れて生まれてしまうものですけれども、これも唇だけ割れてる方とか、あごだけ割れてる方とか、その奥の方だけが割れている方とか、いろいろな種類というか分類があるんですが、一般的には唇が割れてしまっている所を形成外科が担当しております。

つボイ小高 はい。

野田 やっぱり割れているとミルクが飲めないんですね。なので、生後3ヶ月ぐらいまでの間に唇を閉じてあげる手術をしていくことが多いです。

つボイ これなんかは私も見たことありますけども、昔と今とで、ものすごく仕上がりが良くなってきたなというのが私の感想です。

野田 昔は割と直線的にピッと切ってと縫うような方法が多かったんですが、先人たちが色々な術式を編み出して、今はあんまりひきつれが出にくいように、ちょっと複雑な形にすることで、あまり縦に縮み上がらないような、綺麗な仕上がりになるようなデザインで手術ができるようになっています。

つボイ そうなんだ。

野田 はい。あと、比較的多いのが多指症(たししょう)、合指症(ごうししょう)といわれて、手の指が多かったり、くっついてしまってたりするもの。あとは裂手(れっしゅ)といって指が3本とかしかなくて、割れてしまってるような形の手の変形とかもあります。

つボイ そういうのはちゃんと治るものなんですか?

野田 多指症はシンプルに取って、足りない皮膚の所は、植皮とかも必要だったりはするんですが、比較的、見た目にはそんなに気にならない程度に治すことができることが多いです。

つボイ やっぱ足りない時の方が、補う方がちょっと難しそうですね。

野田 そうですね。なので、機能的な面を優先してどういう風に作っていくかというところで、裂手の治療はかなり難しくて、専門性の高い病院でしかやってなかったりします。

つボイ はい。

野田 あとはですね、頭の骨の形の異常というのも形成外科で扱うんですが、頭蓋早期癒合症(ずがいそうきゆごうしょう)といって、赤ちゃんの骨って骸骨のやつとか見てもらったらわかると思うんですが、ジャミジャミジャミってなってるところがあるんですけど。

小高 ちょっと切れ目みたいなところね。

野田 あれは本来くっついてなくて、脳みその成長に合わせて少し広がっていってくれるんですが、それが早くから閉じてしまって、その部分が広がらなくて、広がりやすいところが広がってくるので、頭の形がちょっと変になってしまう。

つボイ ほぉ。

野田 あるいは、広がらないことで脳が圧迫されて、知的な問題が出てきてしまったりすることがあります。そういったものも、骨がくっついているところを切って、延長器といってその間に骨が作られるように、少しずつ少しずつ骨と骨の間を広げていくような機械をつけて治療をしていくというようなことも形成外科でやります。

つボイ はい。

つボイ はい。この番組のリスナーさんの中でも、やっぱり今日出てきたそういう症状の方もいらっしゃって、こうして見ると、体のあらゆるところで生まれつきの異常というのが起こり得るんだなと思いましたね。

小高 そういう意味でも、形成外科の発達が、いかに役立ってるかってことが分かりますよね。
来週がこの形成外科シリーズの最終回となります。改めて医療の世界で形成外科が果たす役割をお聞きします。

さて、「健康のつボ!」では、いろいろな病気について専門家の先生に解説していただいております。みなさんもテーマとして取り上げてほしい病気や症状などがありましたら、このコーナーまでお寄せください。専門の先生に教えていただきます。

つボイ はい、質問お待ちいたしております!

小高 「健康のつボ!~形成外科について~」でした。

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