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第10回 皮膚潰瘍とケロイドについて


小高 毎週この時間は「健康のつボ!~形成外科について」。形成外科ではどんな疾患を診てもらえるのか? 一宮西病院 形成外科部長の野田 慧先生に教えていただいています。
体の表面を整える形成外科の扱う治療範囲、とても広そうですね。

つボイ しかも表面を整えようと思えば、その内側とか深いところ、場合によっては他の部位からの移植もあるということですから、これまた奥が深い診療科であるぞという気がいたします。

小高 今日もその形成外科が扱う具体的な症状を教えていただきます。野田先生です。

野田 今日は、皮膚潰瘍とケロイド、肥厚性瘢痕についてお話をさせていただきます。皮膚潰瘍とは、簡単に言うと皮膚の表面のところが無くなってしまって、じゅくじゅくとした皮下組織が露出してしまっている状態。これを潰瘍と呼びます。痛いですし、時には出血したり、そこからばい菌が入り込んで感染を起こす原因になることがあります。原因としてはいろいろあるんですが、一番わかりやすいのが床ずれですね。これは圧がずっと同じところにかかることで、血流が悪くなって組織がダメになってしまう。これが褥瘡、いわゆる床ずれなんですけれども、これも皮膚潰瘍の1種です。

小高つボイ ふむふむ。

野田 あとは動脈硬化、動脈の中が狭くなったり詰まってしまうことによって、そこの組織の血流が悪くなってしまって、皮膚が壊死してしまう。あるいは、同じような形で抗原病をきっかけに血流が悪くなってしまって潰瘍を起こすこともあります。また、動脈だけじゃなく、静脈も戻りが悪くなるとむくんでしまうんですね。滞ると新しい血が入ってこなくなるので、血流が悪くなって潰瘍ができたりします。

小高 治療法というのは?

野田 基本的にはその潰瘍がどういう原因でできてきているかというところで、治療の方法も変わってきます。床ずれであれば、まずは除圧ですね。圧が同じところにずっとかからないように、自分で体の向きを変えられない方だったら介助して、最低2時間に1回は体位を変えてあげます。できてしまった潰瘍に対しては塗り薬だったり、手術などで治療をしていきます。
動脈が詰まってしまっている方の場合は、私たちだけでは治療が難しくて、その動脈を再開通させてもらわないと良くはならないので、循環器内科の先生と一緒にタッグを組んで治療をしたりもします。ばい菌がずっと居座ってしまうことで治らない場合は、適切な処置や抗生剤の投与をしながら治していくこともあります。

小高 もう一つのケロイドというのは?

野田 ケロイドというのが一般的な言い方なんですが、実は一般的に肥厚性瘢痕とケロイドという2種類がケロイドと呼ばれてしまっています。どういうものかというと、傷ができたところの皮膚が赤く盛り上がり、みみず腫れのようになってしまうものです。その傷の範囲を超えないものが肥厚性瘢痕で、その傷を超えてもりもりとキノコのように大きくなっていってしまうものをケロイドと呼びます。

つボイ なんでそんな風に盛り上がっていくんですかね?

野田 その傷ができた後に、治す過程で真皮という表皮の1個下の層で炎症が続いてしまって、体が傷が治っていないと判断してしまうことがあります。そうすると、傷を治すという作用が過剰に働いてしまって、コラーゲンがたくさんできて盛り上がってしまったり、血管がたくさん作られて赤く見えたり、痒かったり痛かったりという症状が出てきます。

小高 これはそういう風になってしまう人とならない人っていうのがあるんですか?

野田 同じ場所でもなりやすい体質の方とそうでない方がいます。体質的になりやすい方がなりやすい場所というのもあって、関節の近くだったり、体の真ん中=正中の傷というのは肥厚性瘢痕やケロイドになってしまうことがあります。

小高 これは命を脅かすとか、そういう類いのものではないんだけれどもってことですかね。

野田 そうですね、これは命に関わることはほぼないです。ケロイドがあまりにも広がって、そこから皮膚がんが出ることは0じゃないですけども、基本的にはほぼ命に関わらないです。ですが、常にピリピリ痛かったり痒かったり、あるいは見えるところだと人から見えてちょっと恥ずかしいとか、お風呂に入りに行きにくいとか、そういうことも訴えとしてありますので、なるべく目立たない傷にしてあげることが治療目標になってきます。

つボイ 盛り上がっているから、単純に削っていくということなんですか?

野田 それはできないんです。手術で削ればいいというものではなくて、意外とそれだと再発してしまうことが多いです。その起きている炎症自体を治めてあげなくてはいけないので、基本的にはステロイドや飲み薬を使ってまず炎症を抑えていきます。それでもなかなか落ち着いてこない場合は手術をすることもあるんですが、単純に手術をして治すだけでは再発してしまうので、その後にステロイドを使ったり、放射線治療をおこなうこともあります。

つボイ 私、なんか単純な質問してますね。盛り上がったら削ればいいじゃないって。

小高 でも、先生に丁寧にお答えいただきました。

つボイ いろいろな原因があって、対症療法と原因の根治と両方を目指すのだから、これ複雑なことになってくるんですよね。

小高 ケロイドにいたっては体質っていうのもあるみたいなので、先生も大変なんだそうです。さあ、来週も引き続き、形成外科について野田先生にお聞きします。
さて、「健康のつボ!」では、いろいろな病気について専門家の先生に解説していただいております。みなさんもテーマとして取り上げてほしい病気や症状などがありましたら、このコーナーまでお寄せください。専門の先生に教えていただきます。

つボイ はい、質問お待ちいたしております!

小高 「健康のつボ!~形成外科について~」でした。

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