【睡眠】編
自分の適切な睡眠時間を知っていますか?睡眠は「量だけでなく質」が重要です!
【監修】一宮西病院 小児科 部長 杉山 剛医師
肝心なのは寝始めの3時間
睡眠は、脳と身体を同時に休息させる唯一の方法です。また本来、睡眠中は交感神経を休めて副交感神経が優位となるように、自律神経の調節もしています。自律神経の乱れは身体にさまざまな不調となって現われることからも、睡眠が健康にとっていかに重要であるかがわかります。健康であるためには質のいい睡眠が必要で、睡眠は「量だけでなく質」がとても重要です。例えば、睡眠時無呼吸症候群の方たちは一見寝られているようでも、脳波は起きている状態で、実は質のいい睡眠をとれてはいないのです。睡眠は、脳を休めるノンレム睡眠と身体を休めるレム睡眠の2つをセットで繰り返していますが、ノンレム睡眠中にみられる深い睡眠をしっかりとれているかが、睡眠の質に関わってきます。深い眠りが出てくるのは、寝始めてからの3時間。質のいい睡眠にとって非常に重要な3時間といえます。暑くて寝つきが悪い夜、エアコンや扇風機のタイマーは、3時間にセットするといいでしょう。
また、脳を確実に休ませるには、音や光といった刺激を断ち切ることが重要です。夜、寝室は真っ暗にし、朝起きたら光を浴び、朝食を摂る。朝日を浴びることで体内時計がその日の睡眠に向けてリセットされます。いい睡眠のための朝食としては、納豆ごはんがおすすめです。納豆には快眠ホルモンを生成する「トリプトファン」が豊富に含まれています。日中に光を浴びながら活動することも、質のいい睡眠につながります。眠れないからお酒を飲んだけれど、ますます眠れなくなったことはありませんか。眠りに入る時、体温は下がります。眠る前は体温が上がるようなことをするのは避けましょう。睡眠の質の良し悪しの見分け方としては、朝起きた時にスッキリしていて熟睡感がある、いびきをかくことなく眠っている、この2点が目安となります。特にいびきを週に5日以上かくのは習慣性いびきで、睡眠時無呼吸症候群が潜んでいるかもしれません。中高年の男性に多い睡眠時無呼吸は子供にもみられ、いびき症状の他に口を開けて寝ていたり、首を反って寝ていたりするときは、一度受診することをおすすめします。
睡眠負債」はしっかり返済
「睡眠時間はどれくらい必要ですか」とよく質問されますが、適切な睡眠時間は人それぞれ違います。小学生は10時間、70代は5.5時間などといいますが、これはあくまでも平均的なもので、その人に適した睡眠時間ではありません。6時間未満の睡眠でスッキリ目覚める人は短眠者、9時間以上寝ないとスッキリしない人を長眠者といいます。大人にも長眠者はいて、物理学者のアインシュタインは1日10時間の睡眠を確保していたそうです。因みに、ナポレオンやエジソンは短眠者だったといわれています。
深い眠りから浅い眠りになるまで1サイクルはおよそ90分で、目覚めやすいのは90分の倍数の時間です。大人も子供も、自分にとっての適切な睡眠時間を知るのはとても大切なことなので、知らない方は休日などを利用して、誰かに起こされることなく自然と目覚めるまでの時間を確認してみましょう。働き盛りの30代〜40代の方は、特に寝不足気味かもしれません。「睡眠負債」という寝不足の借金が貯まっていたら、休日は自然に目が覚めるまでしっかり眠りその負債を返済しましょう。ただし睡眠学的に、睡眠はためておくこと、いわゆる「寝だめ」はできないとされています。睡眠負債は、どこかでリセットしないと身体に変調をきたします。夜の睡眠時間がうまくとれない、日中眠気に襲われるといった場合は、お昼寝を活用しましょう。
お昼寝のポイントは
- 長さは15〜20分間
- 横にはならず、腰かけて机などに顔を伏せる
- 寝る前にコーヒーを飲む
- ベストな時間帯は14時頃