脳卒中のお話~予防から治療まで~
脳の血管が詰まる「梗塞」、脳の血管が破れる「出血」
脳の動脈にトラブルが生じて起きる病気をすべて脳卒中といい、トラブルには大きく分けて〈詰まる〉〈破れる〉の2つがあります。さらに、そのトラブルが起きる部位は、最も太い血管の主幹動脈、脳の表面を走る血管、顕微鏡でしか見えないほどの細い血管の3つがあり、この血管のどこかが詰まると「梗塞」、破れると「出血」という病名が付きます。まずは脳の血管が詰まる病気、私たち専門医が虚血性脳血管障害と呼ぶ脳梗塞についてお話しします。脳梗塞のなかで最も多いのが、細い血管が詰まって起こる「ラクナ梗塞」。そして次に多いのが、脳の表面を走る血管が詰まって起こる「アテローム脳梗塞」です。一方、詰まる病気のうち最も恐ろしいのが「心原性脳梗塞」。お風呂の栓がスポンとはまり込むように、太い血管に大きな血の塊が詰まり、脳のほとんどを損傷してしまう命に関わる危険な病気です。脳の血管が破れる出血性脳血管障害には、出血により脳内に血の塊ができる「脳内出血」と、脳の表面からシワにかけて出血を起こす「くも膜下出血」があります。
比較的軽度な脳梗塞は、主に薬や点滴で治療
次に、それぞれの病気の特徴や症状についてお話しします。まずはラクナ梗塞ですが、アテローム脳梗塞と比べると軽症で、1ヶ月程でほぼ治ります。アテローム脳梗塞は、血管の内壁にコレステロールがこびり付いて血管の壁が傷付くと、血液中の血小板がかさぶたを作ろうとして集まり、そのかさぶたの上にコレステロールが付き、そこにまた血小板が集まり…を繰り返して血管が詰まる病気で、後遺症が強く残る傾向があります。原因の1つは加齢ですが、その他の大きな原因として高脂血症、高血圧、糖尿病、喫煙などが挙げられます。ラクナ梗塞とアテローム脳梗塞の主な症状は、手足に力が入らない、ろれつが回らない、めまい・ふらつきなどがあり、頭痛の症状を訴える方はあまりいません。ラクナ梗塞とアテローム脳梗塞の治療では、血液をサラサラにする抗血小板剤という薬を服用します。また、脳梗塞で入院した直後の患者さんには、血小板の機能や血の固まり具合を穏やかにする点滴をして急性期を乗り切ります。
脳内出血は血圧管理が重要 起床時の高血圧は要注意
脳卒中の予防につながる、生活習慣病の予防・治療
※本ページに掲載されている情報は、2019年4月時点のものです。