ケガをしたら破傷風になる!?
今回は、ケガをして病院を受診したときに接種される、破傷風ワクチンについてお話しします。
破傷風なんて昔話?
破傷風という病気を聞いたことはありますか? 「衛生状態が悪かった昔の病気で、今はほとんどないよ」なんて思っているかもしれませんが、実は毎年100名ほどの方が破傷風を発症していることがわかっています※1。
破傷風はどんな病気?
破傷風はちょっとしたケガ(ブロックに腕があたった、庭作業をしていて指を切った等)で、傷口に破傷風菌という菌が入ってくることで感染します。破傷風菌は土壌に含まれている菌で、愛知県の土の中にもいます。潜伏期間は短い人で3日、長い人で3週間程度です。野外活動の多い5~10月に患者数が多くなるといわれています。症状は歩行がしにくい、口が開けにくい、食べ物をうまく飲み込めないといった初期症状から始まり、痙攣や後弓反張、呼吸困難をきたして死に至る恐ろしい病です。病院で治療を受けると、全身麻酔や人工呼吸器を使用して全身管理をおこないながら、3週間以上細やかなケアを受けながらの長期入院が必要になります。命が助かったとしても、ベッドで安静にしている期間が非常に長いので、リハビリに相当な苦労が強いられます。
後弓反張のイメージ
ケガをしたら追加の予防接種を
破傷風を予防するには、破傷風トキソイドというワクチンを接種することに尽きます。標準的なワクチンの接種スケジュールでは、全部で5回打つことで十分な免疫ができます※2。ところが5~10年も経つとこの効果は切れてしまいます。
出典: Thwaites CL, Beeching NJ, Newton CR. Maternal and neonatal tetanus. Lancet. 2015;385(9965):362-370. doi:10.1016/S0140-6736(14)60236-1
出典
※1)発生動向調査年別報告数一覧(国立感染症研究所)
※2)Thwaites CL, Beeching NJ, Newton CR. Maternal and neonatal tetanus. Lancet. 2015;385(9965):362-370. doi:10.1016/S0140-6736(14)60236-1
※1)発生動向調査年別報告数一覧(国立感染症研究所)
※2)Thwaites CL, Beeching NJ, Newton CR. Maternal and neonatal tetanus. Lancet. 2015;385(9965):362-370. doi:10.1016/S0140-6736(14)60236-1
コラム執筆
一宮西病院 総合救急部 救急科
部長
安藤 裕貴
2008年、富山大学卒業。富山大学附属病院・富山県厚生農業協同組合連合会高岡病院で初期研修後、福井大学医学部附属病院にて後期研修。福井市立敦賀病院、名古屋掖済会病院を経て、2018年より一宮西病院。
⇒プロフィールの詳細はこちら
部長
安藤 裕貴
2008年、富山大学卒業。富山大学附属病院・富山県厚生農業協同組合連合会高岡病院で初期研修後、福井大学医学部附属病院にて後期研修。福井市立敦賀病院、名古屋掖済会病院を経て、2018年より一宮西病院。
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※本ページに掲載されている情報は、2020年9月時点のものです。