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重症ってどんな症状?


医師「…ご主人は重症です」 妻「えぇっ!? …主人はどうなってしまうんですか?」
こんなシーンをドラマなどで見聞きしたことはないでしょうか。
今回は重症とはどのような状態のことか?についてお答えしたいと思います。

傷病者重症度分類とは?

傷病者重症度分類という言葉には次のような定義があります。軽症は入院を要しないもの、中等症は生命の危険はないが入院を要するもの、重症は生命の危険の可能性があるものとなっています。さらにその上には重篤というものがあり、重篤は生命の危険が切迫しているものと定義されています。重篤は亡くなる一歩手前の状態といえます。
傷病者重症度分類表
軽傷 入院を要しないもの
中等症 生命の危険はないが入院を要するもの
重症 生命の危険の可能性があるもの
生命の危険の可能性があるものとは、重症度・緊急度判断基準において、重症以上と判断されたもののうち、死亡及び重篤を除いたものをいう
重篤 生命の危険が切迫しているもの
生命の危険が切迫しているものとは、以下のものをいう。
  • 心・呼吸の停止または停止のおそれがあるもの
  • 心肺蘇生を行ったもの
死亡 初診時死亡が確認されたもの
出典: 救急搬送における重症度・緊急度判断基準作成委員会報告書(平成16年3月 財団法人救急振興財団)

観察あるいは一定の基準から緊急度を判定

救急隊・救急救命士たちは傷病者の意識や血圧、脈拍などを観察し、緊急性や重症度を判断し、病院へ連絡をしています。一方、病院の救急外来では院内トリアージとして一定の基準を設けて緊急度を判定し、直ちに診療や治療が必要なのか、もう少し待てるのか、次の再評価のタイミングはいつがよいのかということを判定しています。これは主にトリアージナースという看護師が専属でおこなっています。
緊急度判定表
蘇生
Blue
直ちに診療、治療が必要 心停止、けいれん継続、重症外傷、高度の意識障害、重篤な呼吸障害 ケアの継続
緊急
Red
10分以内に診察が必要 心原性胸痛、重篤な体温以上、激しい頭痛・腹痛、中等度の意識障害、抑うつ、自殺行為 15分毎の再評価
準緊急
Yellow
30分以内に診察が必要 症状のない高血圧、痙攣後(意識回復したもの)、変形のある四肢外傷、中等度の頭痛・腹痛、活動期分娩 30分毎の再評価
低緊急
Green
1時間以内に診察が必要 尿路感染症、縫合を要する創傷(止血あり)、不穏状態 1時間毎の再評価
非緊急
White
2時間以内に診察が必要 軽度のアレルギー反応、縫合を要さない外傷、処方、検査希望 2時間毎の再評価
出典: JTAS緊急度判定表

医師は何をよりどころに判定するの?

では、医師はどのように重症度や緊急度を判定しているのでしょう。医師が用いている判定方法にClinical Decision Rule(臨床意思決定ルール)というものがあります。たとえば肺炎であれば、CURB-65などを使っています。
CURB-65 Clinical Feature Points
C
混迷
Confusion 1
U
尿素窒素
Urea > 7 mmol/L 1
R
呼吸回数
RR > 30 1
B
血圧
SBP < 90 mm Hg OR
DBP < 60 mm Hg
1
65
年齢
Age > 65 1
CURB-65 Score Risk group 30-day mortality Management
C C 1.5% Low risk, consider home treatment
U U 9.2% Probably admission vs close outpatient management
R R 22% Admission, manage as severe
出典: Mandell LA, Wunderink RG, Anzueto A, Bartlett JG, Campbell GD, Dean NC, Dowell SF, File TM Jr, Musher DM, Niederman MS, Torres A, Whitney CG; Infectious Diseases Society of America; American Thoracic Society. Infectious Diseases Society of America/American Thoracic Society consensus guidelines on the management of community-acquired pneumonia in adults. Clin Infect Dis. 2007 Mar 1;44 Suppl 2:S27-72.
肺炎のこの評価方法ですと意識状態や血圧、呼吸回数、脱水の評価などのリスク評価をおこなっています。ここから更に内服や現在の全身状態といった数値化しにくいものを考慮して、最終的な重症度を判断しています。
「あなたは重症です」という医師の言葉には重い響きがありますが、そこには様々な情報を含めた結果を表しているのです。

コラム執筆

一宮西病院 総合救急部 救急科
部長
安藤 裕貴

2008年、富山大学卒業。富山大学附属病院・富山県厚生農業協同組合連合会高岡病院で初期研修後、福井大学医学部附属病院にて後期研修。福井市立敦賀病院、名古屋掖済会病院を経て、2018年より一宮西病院。

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※本ページに掲載されている情報は、2020年6月時点のものです。
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